やっぱりあたしはいつでも格好がつかない。まあ昔からだから気にしないけど。スーパーの袋をがさりと鳴らしてエレベーターに乗り込む。相変らずやけに狭い。あんなに高そうなマンションなのに。

「今日の晩御飯はなんでしょうか?」
「クリームパスタ」
「やっぱりわかっちゃうか」
「当然だろ」

今日は我侭を言ってあたしがひとりで晩御飯を作ることになった。得意のクリームパスタを作るつもりで、佳主馬を説き伏せるのはそれはもう大変だった。勝手に台所を荒らされたくない、という文句からはじまり、危ないでしょ、俺も暇だから、せめて手伝わせろ、とだんだん命令形になってくる。それでもあたしの「今日は佳主馬に迷惑かけたから、絶対あたしが作るんだから!」のひところで解決。佳主馬は渋りながらも了解してくれた。だからさっきからあたしは上機嫌で、佳主馬はその正反対に不機嫌だ。エレベーターが止まって、あたしは佳主馬の後ろについていく。こんな所で迷っちゃったら本当にあたしただのバカになっちゃうからね。佳主馬が慣れたようにガチャガチャと鍵を回して部屋に入る。朝となんにも変わらない光景。

「じゃっ佳主馬はOZでもしててください!」
「…わかったよ」

さっきから信じられないくらい佳主馬の目が鋭い。ぎろりとこっちを睨む佳主馬はよっぽど料理がしたかったらしい。それともあたしの料理に不安があるとか…。それはさすがに酷すぎないか。


prev next
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -