電車にゆられてかなりの時間が過ぎた。もうまったく見たことのない風景になってきて少し不安になる。うまくやっていけるんだろうか。あたしは風景を眺めるのにも飽きてしまって持って来ていたノートパソコンを足の上に広げた。因みにこのノートパソコンはお母さんが一晩で物音立てずに準備してくれた荷物の中から引っ張り出したものである。部屋にあった机などは全て処分してしまったらしく、少しの荷物だけ先に送られているらしい。同じく引っ張り出したヘッドホンを耳に掛けると、他の音が遮断されてあたりが急に静かになった。OZにログインすると、直にメールが何通届いてるかとかの表示が現れる。そのままにしておくのも面倒なのでチェック画面に入るとなんと7通もメールが来ていた。OZの公式企画とかのが大半で、あとはOZ友からのだったから返信はラクだ。

「…ん?」

ひとつ、見慣れないアイコンがある。いや、見慣れてるっちゃあ見慣れてるけども。こんなメールボックスで見るのははじめてのアイコンだ。キングカズマの顔をしたアイコンは耳がピコピコ動いてて可愛い。つられるようにメールを開くと、可愛いキングカズマとはうって変わって質素な文章が綴られていた。これは…佳主馬か。そうだよな、OMCのチャンピオンってキングカズマだし。お母さんもそんなようなこと言ってたし。っていうかなんであたしのアバター知ってるの?お母さん勝手に教えたとか?

名古屋駅に迎えに行くから、改札の所でまってて

改札の所で待ってて、とか言われても…改札まで行けるかすら怪しいんだけど…。そのことを伝えるために返信しようとしたら電車が止まった。「名古屋駅です」と特徴的な声のアナウンスが電車内に響いた。あたしは急いでパソコンとヘッドホンをスーツケースに押し込んで電車から降りた


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