「……、」
「…………」

そうか、今やっとわかった。佳主馬ってモテるんだ。そりゃ確かに身長もぐんと伸びてたし客観的に顔を見れば残念ながら凄くカッコイイし、片方だけ前髪が長いのもなんとなく佳主馬に似合っていてオシャレだ。きっと他の男子があの髪型をしていてもカッコつけてるみたいで変に見えるだろう。それにあの性格…なんて言うんだろう、ツンデレ?は女子にとっては堪らないんじゃないだろうか。もうきっと佳主馬は学校の王子様的存在なのではなんだ。だから、佳主馬と付き合っている(ことになっている)あたしは、事実高校全女子の敵なのか。だから友達もできないんだ。はあ、と溜息を付いてシャツをぬぐと小さく悲鳴に似た声が漏れた。転校早々これって、本当ないよね。ああ、だめだ。挫けそう。はやく着替えて佳主馬の近くに行こう。佳主馬の近くに行けばこんな露骨な行為は止むと思うから。

「………」

体操着、ない
どうしよう。いや、あの、ウン、あれだ、あの、うん、凄く、どうしよう。状況を説明しますとですね、ウン、あの、ロッカーの方を向いたあたしの後ろにはクラスの多くの女子があたしの行動を見守っている訳でありましてですね、シャツを脱いでブラだけのあたしが次することと言えばそりゃあ体操着もといジャージを着ることなんですがね、そのジャージが無いわけですよ。横目で見る限り更衣室にいるほぼ全員がジャージに着替え終わっていて、これからまた制服に着替えなおすというのは、ちょっとアレな訳でして、ウン。あの、誰かいい考えないですか。って聞きたいけど聞けないんだよ。

「………」
「………」

…ウン、そうだね。どうしよう。だめだ、あたまがぐるぐるする。後ろからは痛いほどの視線を感じるし、ジャージないし、佳主馬は男子更衣室にいるだろうから助けは求められないし、話しかけられるような女子はいない。うわ、最低だ。どうしよう、うわ、混乱しすぎて泣きそう、いや、混乱してるせいだけじゃないんだけど。うわ、涙でてきた。ええ…どうしよう、もう、どうにかして

「う…」


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