授業は前の学校でやっていたところの少し前で、わからないところとかは特になかった。だけどどうやら佳主馬の彼女というのはものすごい事のようで、転校生とは言えありえないほどの視線をあたしは背中にビシビシ感じていた。先生方もなんだかよそよそしい。先生方は佳主馬がキングカズマだってこと知ってるのかなあ。

「学校案内するよ」
「…あ、りがとう」

昼休みになると野次馬も数を急激に増やして、佳主馬があたしに話しかけるたびに教室の外にできた人だかりがざわめく。こんなに注目されても話しかけられるっていうことは皆無なので友達はまだできていない。まあ、自分から話しかけたりするって言うのは凄く苦手だから、いいって言ったらいいんだけど…、やっぱり複雑。もともと内気で恥しがり屋なあたしにはこの大観衆はちょっとダメージが大きい。慣れないことばっかりで疲れたし、佳主馬に腕を引かれて廊下を歩くと皆がざわざわ言いながらついて来る。一体何を言ってるんだろう。

「あ、」
「…え?」

ぴたりと佳主馬の動きが止まる。それにあわせて野次馬も静かになってあたしの足も止まる。振り返った佳主馬は無表情で、だけど頭の中でいろいろと考えているようだ。嫌な予感がする。

「次、体育だから」
「……そう」
「更衣室、案内する」

た、たた体育ということは、あたしは着替えるために佳主馬と離れないといけないわけで、あたしはまだ友達をつくってないどころか女子からは何故か嫌な視線を浴びてる訳で、つまりは死ぬほど不安なわけで、あたしは運動神経はとてつもなく悪い方であるので…。顔が青ざめるのが自分でも解った。


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