朝ごはんを食べて歯を磨いて佳主馬に促されるまま外にでた。佳主馬が自然に駐車場に向かうので、呼び止める。すると佳主馬はそうだった、と言って頭をかいた。

「自転車登校、」
「ええっ!」

当り前のことながら、佳主馬は自転車を一台しか持っていないらしい。佳主馬に自転車で行ってもらってあたしは一人徒歩…なんて学校に間に合うはずが無いしそもそも道がわからない。とうしよう、と悩んでいるあいだに佳主馬は自転車にまたがった。まさか置いていく気!?

「早く乗ってよ」
「え?」
「間に合わないよ」

佳主馬が視線で差すのは自転車の荷台。もしや、二人乗りしろと?あたしが戸惑っていると佳主馬が「早く、」と眉根を寄せて言うのであたしは慌てて荷台に乗るしかなかった。佳主馬のワイシャツを軽く掴むと、ゆっくり自転車が動きだした。


「下り坂とかあるからしっかり掴まってなよ」
「う、わ!」

ぐん、といきなり自転車が急降下を始める。それにバランスを崩したあたしは佳主馬の腰にしがみついてしまった。細くて力強い…って、なにしてんのあたし!恥ずかしくなりながらも、曲がったりスピードが増したりでなかなか状況を打破することができずに、ずっと佳主馬にしがみ付いている。これ、絶対髪の毛めちゃめちゃだよね!

「ついたよ」
「う、ありがと」

フラフラと自転車を降りると、見知らぬ高校の前にいた。そしてなぜか、色んな人がこっちを見ている。主に女子。佳主馬は当り前のような顔であたしが歩き出すのを待っている。慌てて一歩先に立っている佳主馬の方へ足を踏み出した。

「まずは校長室でしょ?」



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