仕事から家に帰ったら、家の中が空っぽだった。本当に、なにも残っては居なかった。

両親の姿も無かった。
今までに無い程考えて、やっと逃げられたんだと気づいた。両親はあたしのこの空の家に残して消えた。
理由は、解らない。
ただ、両親に必要とされていなかった自分が、どうしようもなく悲しかった。

後日、近所の人が真選組に連絡したらしい。空っぽの家に、真選組の人が数人やって来た。
しかしそれは形だけの捜査のようだ。
"通報があったから"調べた感じだ。先ほどから何回も言っているけど、今のあたしの家には何も無い。

「それでは、何か不便があったら連絡してください」
「…そうですか」

鬼の副長と呼ばれる人、土方さんが事務的にそう言った。
あたしは、何もしていないことに疲れていた。
家が空になってから、なんとなく仕事に行けなくなっていた。副長さんにあたしはろくな返事もしないまま、真選組の方々を帰した。

あの日からあたしが代わったのは瞭然だった。でも、そんなのどうでもいいくらい疲れてしまっていたのだ。

あたしはいまでも、
あの時の自分を
心の底から恨んでいる




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