「近藤さんから、聞きやしたかィ?」
「あ…っは、はい」
「はは、声まで姉上ににてらァ」

そう言うと沖田さんは自嘲するように笑った
辛そうなのに笑っている顔は見ていて辛かった

「…なあ」
「な、んでしょう」
「膝枕してくだせぇ」

屯所の縁側であたしは草履を沖田さんに盗られたまま
外に足を放り出して太ももに沖田さんの頭を受け入れた
薄桃色の着物越しに感じる沖田さんの髪は風に攫われてサラサラと綺麗だ
横を向いて寝ている沖田さんの目元にはいつの間にかアイマスクが乗っていてその表情を見ることはできなかった。

「…なあ」
「はい」
「頭撫でて

 そーちゃんって…呼んで、くだせえ」

沖田さんの声が震えている
あたしはそのことには触れなかった
触れちゃいけなかった

「…そーちゃん」




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