「ふう…」

やっとアパートの玄関まで来ることが出来た。ガチャガチャと鍵をあけると、其処には家を出る前と同じ我家。銀時さんを降ろして溜息をつく。な、長かった…!!なるべく衝撃を与えないようにソファーに寝かせる。あどげない寝顔はなんだか可愛らしい。

「(可愛さ余って憎さ百倍…)」

そう、まさに今の銀時さんにはその言葉が似合う。銀時さんは身長もあたしなんかよりずっと高いし、体型もけっこうがっしりしてるタイプだから。どれだけあたしが苦労したと思ってるんですか。…そんな事を言っても結局は喜んだりしているあたしも確かに居る訳で、ため息が零れた。それにしても今日は疲れた。お風呂に入りたい。部屋に銀時さん一人残していくのもどうかと考えたが眠さと酔いが混ざった思考回路の中ではお風呂に入りたいという慾に打ち勝てる訳が無かった。鞄と上着を適当に投げてお風呂場に向かう。ちらりと銀時さんを見やると鼾をかきながら寝ている。お隣さんに文句いわれないといいけど…。

あ、そうだ。

春先とは言えまだまだ冷えるこの季節。何もかけないで寝かせておくのはなにかと可哀想なので寝室に行って毛布を持ってこよう。足音に注意してリビングを後にする。途中にバスルームがあったので先に煩わしいストッキングを脱いで洗濯機に放り投げた。ぺたぺたと鳴るフローリングを小走りで寝室に向かいベットにぐちゃぐちゃになって置いてあった毛布(今日の朝は非常に早かったので急いでいたのだ)を奪うように取り、元来た道を戻る。細心の周囲を払って最近調子の悪いドアを開けると、出る前と何も代わらない部屋の様子。若干安心しながら銀時さんに近寄る。奇麗な寝顔だなあ、顔立ちは整ってるし、何気に睫も長い。そっと毛布をかけると、銀時さんが「ん…」と小さく声をもらした。どきり、なんてい、いいい色っぽい声をだすんだ。しかし大丈夫、おきてない、は、ず

「んんー」
「……」

なんと、起きてしまった。目を擦っている銀時さんはどうやら寝ぼけているよう、昇天の定まらない目をしている。どうしようかとあたふたしていたら、腕を掴まれる。しかも寝ぼけているくせに結構な力で掴まれたから、振り払えない。ど う し よ う

「ねむい」
「へっ…、うぎゃあ」

ぐいっと腕を引っ張られてたどり着いたのは銀時さんの腕の…なか!?え、あ、ちょ…っ混乱した頭の中ではうまく解決策が浮ばない。ひっしに頭を回転させていたら、銀時さんの手があらぬ場所に置かれている事に気づく。

「ちょ、」

まさかまさかもしかするとあたし、服 を 脱 が さ れ て い る !?

「銀時さん」
「んー」

聞いているのか聞いていないのか良く解らない声で返事をされる。いつの間にか銀時さんはあたしに馬乗りになっていて…

嫌だ。こんな風にされるのは。いくら好意を寄せている人といえど、こんなふうに関係を持ってしまうのは、絶対に嫌だ。そう思うと自然と泣けてきてしまう。どうしようもできない自分が悲しい。一体、どうすれば、

聖書を知らないブラウス

(っく、ひっく…)
(…あれ、俺…?)
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