「俺、梢が死ぬの、怖い」
「うん」
「俺が死ぬのより、怖い」
「うん」
「俺が変わりに、死ねたら…!!」
「…それはね、違うよ」
そういうと、銀時がハッと息を飲んだのが解った。銀時は今にも泣いてしまいそうな顔をしていて、あたしの胸がきゅうっと切なくなる。ただでさえあたしは、銀時のことを思うと、いつだって泣いてしまいそうなのに、今は。笑わなきゃと、思った。
「あたしだって死ぬのはこわい。」
「怖いよ。でも、」
「銀時が死ぬ方がやだ。」
なんて、銀時とおんなじだね。って言うと銀時がちょっと笑ったのが嬉しかった。
「あたしは、あたしが病気で、よかったと思うよ」
そう。これはあたしの本心。だって銀時は、皆に必要とされてるから。…おかしいな、いつもだったらこんな事、絶対に言ってやらないのに。病気だからかな。病気だから。もうすぐ皆と、銀時とお別れだって解ってるから、こんな恥ずかしいこと言えちゃうのかな。残り少ない時間を、すこしでも綺麗な思い出に変えたいんだね。
風が吹くのを感じる。相変らず音はあまり聞えない。
銀時が小さく言った言葉は、確かにあたしの鼓膜を振るわせた。
音の消えた世界
(すっげェ、愛してる)
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