暫くして、二人の涙が止まった頃。あたしたちはまだ、抱きしめ合ったままだった。首元に顔を埋めた銀時の、チャームポイントとも言える天パが、くすぐったい。そして、相変らずぎゅうぎゅうときつく抱きしめられていて、ちょっと苦しい。でも銀時のことを考えると、離して、とは言えなかった。だって、苦しいのはきっと銀時のほう。

「ごめん」

「……」

「ごめん、銀時。」

「…」

「ありがとう」

ピク、銀時が僅かに反応した。そして徐に顔を上げて、その表情は、言葉に表せないくらい、なんというか、綺麗だった。ほんの少し腫れた瞼も、湿ったままの頬も。全部綺麗。

「…俺、」

「うん」

銀時が口を開いた。擦れた声が鼓膜に響くと、それ以外の音…たとえばびゅうびゅうと煩い風の音とか、あたしの心臓の脈を打つ音なんかが、全部なくなるような。不思議な感覚になった。




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