「あれ?銀さんは行かないんですか?」

「ばっかテメー、俺はずっと前から来るって知ってたんだよ。ま、所謂愛の成せる業?」

「お見舞いにいけるのがアンタだけだっただけでしょーが」

そう。いま満面の笑みを溢している顔からは想像ができないほど重い病気を患っている梢のお見舞いには、家族しかいけないことになっていた。だけど俺が必死こいて主治医と梢の両親に頼み込んで行けるようにしてもらったのだ。だから俺と梢は親公認カップル。しかし、そんなかっこ悪いこと梢はおろか誰にだって言えやしねえ。

「銀!」

「お、梢。やっと来たか」

「今明らかに本音出ましたよね、実はずっと梢さん来るの待ってましたよね」

「うるせーダメガネそんなんだから彼女できねーんだよ」

「うるせーよお前が気にする事じゃねーよ。大体僕には、お通ちゃんがいればいいんだアアアア!!」

そう叫びながらメガネは走り去っていった。何考えてんだあいつ。
でもまあそんなこったどうでもいい。梢のいる教室はいつもよりも数倍輝いて見える。

手を伸ばして叫ぶ

(俺いま、人生で一番幸せです!)





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