その時わたしは、真っ白い世界にいた。
死にそうな時にいる場所といえば黒いイメージがあったから違和感はあったけど、わたしは今生死の堺にいることはなんとなく理解できた。

光も温度も声も何もない世界。これでもかと言うほど孤独が溢れている場所。はやく、ここから出たい。太陽の光を浴びて息をしたい。それだけじゃ足りない、もっと、もっと、わたしにとって生きる意味そのものになっている、もっと大切な・・・

「梢…」

ハッと薬指に視線を落とす。何かの痕がついていて、なんだかとても暖かい……頬に暖かい風が吹いた。真白な世界が色づいていく。


どうして忘れていたんだろう。



あの人の胸に飛び込んで体温を共有したい。あの人の声が聞きたい。
ねえ、

銀時・・・


蒼い空に落ちた

突然世界がぐにゃりと曲がって、金属がぶつかるようなおとがした。

白はあっというまに青い世界に変わり、窓から暖かい日差しが覗いている。



「梢…」

「ぎん、とき?」





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