結婚式の翌日、私は手術室の中にいた。体力的にも精神的にもこれが最初で最期の手術になるそうだ。手術に踏み切ったのは、銀時と少しでも長くいたかったから。やっと終れると安心した私と、もうすぐ終ってしまうと泣きそうになる私がいる。
所詮は延命治療だ。
「がんばれよ」
「うん」
銀時にがんばれって言われたから、がんばる。なんて幼稚かも知れないけど、昨日の結婚式も手伝って私のモチベーションは最高だ。麻酔で意識が朦朧としてくる。
「(…)」
手術の時はアクセサリーなんてしていないから、きのう貰ったばかりの指輪は早速外さなければならなかった。銀時が遠くに行ってしまった気がして、昨日まで指輪はなかったのに酷く淋しかった。
「手術、開始です。」
薬指についた痕
(最期まで幸せを願ってる)
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