キーンコーンカーンコーン
4限終了のチャイムが鳴る。それと同時に学校中がざわざわと言い出した。教室棟と離れたここからはその様子が手に取るように解る。あたしはいつもどおりそのざわめきをBGMに、売店で買ったあたしのお気に入りをつまんで、本を読んでいた。もう何回も呼んでいる、江戸川乱歩だ。

「有菜」
「え、あ…総悟」

ガラリ、あたし以外の人が開くことの滅多にない文芸部の扉が開かれた。そこには総悟が立っている。あたりまえのように、あたしの城に足を踏み入れてあたしが座っているソファーの手摺に座った。そして徐にあたしのお気に入りに手を差し伸べてむしゃむしゃと食べ始めた。

「ちょっと、」
「今日は風紀委員の集会があるんで待っててくだせェ」

もぐもぐと食べる手と口は止めないまま、簡潔な内容を述べて総悟は立ち上がった。そして呆気にとられるあたしを無視して立ち去っていった。なんで?それが残されたあたしがまず第一に考えたことだった。これまでも集会があったときは先に帰っていたのに。どうして今日は、待っててなど言うのだろう。もそもそとお気に入りを食べながら、でも答は一向に見えそうにない。どうせ女よけかそんなんなんだろうな。いつからあたしと総悟はこんな擦れた関係になったのかな。昔みたいに、したいなあ…。



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