パタン、お気に入りの作家さんの最新小説を読み終わったら時刻は丁度4限が終る。あたしは鞄の中から財布を漁って、文芸部を出た。ふと窓を覗いてみると、校舎の外れのほうからなにやら物凄い破壊音が聞えてくる。あの場所は…3Zだ。総悟の居るクラスと言うことで数回行ったことがあるが、一言で表せばこの今もなお続いている騒音に相応しい、凄まじいクラスだった。ふ、と勝手に笑みが零れる。総悟はあのクラスで毎日楽しい生活をしてるんだな。幼い頃はいつも二人きりで遊んでたのに、今じゃあたしと総悟は正反対だもんなぁ。あたしは学校でその存在を知る人が殆ど居ない正に「幽霊生徒」。そして総悟は、学校でその存在を知らない人は居ないほど有名で、モテる。そんな私達のことを幼馴染と思う人がどこに居るだろう。知ってるのはきっとあの人位だろうなあ。廊下の窓に切り取られた真青な空が綺麗。コツコツと静かな廊下に響く靴音が心地よい。今、あたしはこういう世界に生きてるんだ。これからも、きっとそうなんだろう。




「おばちゃん。今日もあれ、頂戴」
「はいよ。210円ね」

ちゃりん。小銭をきっちり210円渡す。ビニール袋に入ったあたし専用の"それ"は言わばあたしの特権。まともに授業に通ってたら絶対に手に入らない代物。部室に帰ろうと足を進めると、大きな掲示板が目に入った。それは今月の予定がわかりやすく纏められたもの。今日の欄を見てみると、今日の放課後、風紀委員の集会があるらしい。そういえば総悟は風紀委員だったな。じゃあ今日は先に帰ってしまおうか。部室への帰り際、また3Zの教室が目に留まった。総悟をはじめとする風紀委員は委員長、副委員長と3Zなんだよな。こんな校舎を破壊して他のクラスの授業妨害をする人たちがこの銀魂高校の風紀を守ってていいのかなあ。



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