私の一日は、窓の外からの騒音に始まる。私の幼馴染、沖田総悟の姉が総悟を起こす音だ。どうしてそこまでしないと起きれないのかはよく解らない。けれども目覚ましには丁度いい時間なので活用させていただいている。ガラリと窓を開けると隣家の部屋の窓越しに総悟と目が合った。総悟の部屋からも窓を開けてもらうと、総悟の顔がクリアに見えた。

「おはよう」
「おはようごぜぇまさ」

そのまま窓を開けたまま部屋を後にする。1階の台所から適当にパンを二つ掴んでまた部屋に戻る。すると総悟が私の部屋に来ていた。これは毎日の日課だ。総悟は家で朝ごはんを食べる、総悟の姉、ミツバさんは体が弱いので少しでも負担を掛けたくないんだとか。だったら朝も自分で起きればいいのに。制服に着替えてそのまま外へ、するともう既に総悟は私の家の玄関の前で立っていた。何も言わずに歩き始める。これはもう日課みたいなものだ。私は当たり前だと思ってるし、きっと総悟もそうだろう。銀魂高校までの、ほんの十分程度の時間。私はこの時間が堪らなく好きだった。総悟のなんともいえない雰囲気。子どもらしいところもあるのに、誰よりも強い意志とプライド、そしてほんの少しの持論。あとは細々した大切なものたち、そんなもので総悟は形成されているような気がする。その大切なものたちに私も含まれていればいいな、なんて私らしくもないのだが、兎に角総悟の傍に居るのはなんだかとても安心できて、好きだった。実に降らない話をしているとあっという間に学校に着いた。私は教室がある方とは別の方に歩き出す。向かうは文芸部部室、私の城だ。あそこは一日を掛けて日当たりが良いし、古くなった校長室にあったソファが置いてあるので最高の場所だった。部活と言っても部員は私だけなので必然的に私が文芸部の部長だ。ガラリ、思い切り扉を開くと何時もと同じ部室。真ん中にある古びたソファに、教職員用の今は使われていないデスクと椅子、大きい窓からは燦々と日光が降り注いでいる。しかしそれだけの日光だと少し暑いので穴の空いた薄いカーテンを閉めた。部屋中に散ばり、積み重ねられた無数の本から、一つ新しい本を掴む。鞄をデスクの上に放り投げてあたしはソファの上に寝転がった。ああ、この時間が二番目に好きだ。今日は授業にでるつもりはない。総悟と一緒に帰る時間までここでゆっくりしていよう。あ、でも4限の終わる少し前にパンとジュースを買いにいかなきゃな。



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