「土方、テメー有菜がお前んとこ行くのにどれだけ勇気がいったか知ってるか?」
「……」
「テメー、こんなに有菜を傷つけやがって…」

許さない。絶対に。姉上に有菜、俺の大切なやつをこいつはぐちゃぐちゃにする。マジメそうな顔して考えてる事は真黒。きっとこれすらも計算のうちだろう。見たくもない顔を睨みつけると、なんと土方の頬はぬれていた。焦点が定まらない。相当動揺してるらしい。

「俺、知らなかったんだ」
「……」
「だっていつもわらってたし、どんなことしてもなんもいわないし、」
「だろうねィ」
「だから」
「恐がってたんじゃねェか」







どうやら俺は相当な事をしたらしい。どんな事をしたかなんて、具体的には思い出せない。それだけ軽い気持ちで、憧れのみつばを手に入れることばっかりに夢中で、今更気づくなんて。

「おれ、」
「てめえはまず、病室にいる姉上に最後の挨拶でもしてきやがれ」
「最期?」
「…早く」

総悟の目が悲しそうに伏せられた。有菜を硬いイスに横たわらせると、俺の先に歩いて病室に入っていく。中は、まっしろだった。

「姉上、土方がきやしたぜ」
「そーちゃん」
「みつば、大丈夫か?」

俺は希望を捨てないように笑顔で話しかけた。最後になってしまった今でもみつばを愛してる。みつばの手を握って少しでも安心させてやれるように。

「有菜なんか寝ちまいやしたぜ」
「そう…」
「明日、うちに帰ろう」
「有菜ちゃん、」
「明日ウエディングドレス、試着する日じゃねーか」

みつばはゆっくりと長い睫で瞳を隠す。止まったと思った涙が再び溢れ出す。今日は最悪な一日だった。



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