翌日の朝は、まだ身体に気だるさの残る。強いて言えば最低な朝だった。何時ものようにフライパンをお玉で叩かれるような騒音で目覚め、何時もより足元覚束ないまま窓を開けると、一秒も間を置かず総悟が中に入ってきた。そのまま下の階に下りながら、今日は授業に出なければ成らない事を思い出した。いくら幽霊生徒と言っても、あたしは立派なこの高校の生徒なので、授業には参加しなければならない。昨日一昨日と授業に出なかったので今日は文芸部には僅かな時間しかいられないだろう。お気に入りもきっと手にはいらない、だろう。ああ、今日はなんて悪い日なんだ。あたしはこんな生活を送っている多くの生徒を尊敬した。その尊敬はすぐになくなってしまったけど。そしてまた時間は何時ものように流れ、学校へ、今日は総悟とは別れずそのまま教室のある方へ、教室に自分の席は無いので空き教室から適当に引きずって、D組に入った。あたしに挨拶してくるような人はいない。皆あたしを認識していない。以内と思っている。否、彼らの中にあたしはいない。

「…!」
「…」

一瞬、ほんの一瞬だけ、女子生徒と目が合った。めずらしい。と言うより初めてだ。学校で総悟と銀八以外の人間と目を合わせるのは。恐らくこのクラスの生徒なのだろうが、生憎名前は知らない。彼女がカコカコとメールを打っているのをぼんやりと眺め、授業を聞き流していた。




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