愛してくれなきゃ愛しちゃう
※閲覧注意
好きじゃない人の内臓には何もときめかなかった。返り血も気持ち悪いだけだった。今泉の内臓はきっときれいなピンクで、温かい血のシャワーはきっとなにものにも代えがたい快感を私にもたらすだろう。でもそんなことしない。彼を愛してるから。
あーあ、こんなことしたら嫌われちゃうんだろうな。
「どけ」
ほら、ただでさえ細い目をこんなに尖らせて、私を睨む。
こんなめんどくさい女は、今泉のもっとも嫌いとするものだろう。彼は今まで、めんどくさい女に随分と手を焼いてきたはずだ。私もその中のひとりに過ぎないのだろう。
やっとのことでひねり出した「ごめん」という言葉も、おびえ過ぎていて伝わったのか定かではない。
「嫌いにならないで」
だめだ。やることなすこと全て今泉の神経を逆なでしている感じしかしない。嫌だ、いやだいやだ。そんな冷たい目でみないで。
あふれた、みだれた、こわれた、愛が。あなたに向かってしまうから。
「それはできない」
ああ、サヨナラ今泉
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