休みはいちゃいちゃしたい。
 そうウキョウが言ったのを覚えている。

 ので、お風呂上りの若い身体をいただくことにした。

 先にお風呂から出てキッチンで水を飲み、氷を齧ってウキョウを待つ。

 やがて、出てきたウキョウはTシャツと下着だけの姿だった。
 髪を乾かし、ソファに座ってぼんやりしている。ほわほわの黒髪やまだ赤い頬、温まって眠たくなったらしくゆっくり瞬きされる目。

 後ろから手を伸ばして耳に触る。氷をいじったせいで冷たくなった指先が急に触ったからか小さく飛び上がった。


「おじさん?」


 首をそらし、真上にある俺の顔を見上げながら、どうしたの、と言いたげな目をする。

 そのままキスをした。さかさまのキス。軽く下唇を食み、舐める。柔らかいけど軽く歯をたてると弾力がある唇。
 音をたてて存分に味わい、離れると困惑した目をしていた。それもそうだ。こういうのはずいぶん久し振り。仕事が忙しかったから。

 その目を見たら妙に興奮してきた。目を合わせたままで両手を肩へ滑らせ、さらに下。Tシャツの上から胸を揉む。当たり前ながら真っ平らで、手を動かしていたらやがて立ち上がる部分があった。

 両胸のそれを人差し指と親指で挟んで、優しく刺激する。横に擦ったり縦に引っ張ったり。
 顔を真っ赤にして、ときどき息を詰める。気持ちいいの、と耳元で尋ねると首を横に振った。ふわりとお風呂上りの匂い。

 しつこいくらい胸をいじめていたら、ウキョウの足が動いた。太ももが特に落ち着きなく、さまざまな動きを見せている。
 Tシャツの裾で見えないのでわからないが、勃っているのだろうか。

 すっかり芯を持った乳首からまた全体に移る。心なしか柔らかくなった胸を手のひら全体を使いながら優しく揉む。

 そうしながら、Tシャツの襟元から伸びている首筋を舌でたどる。熱くて張りのある皮膚。舌が触れたらぴくりと反応を示した。
 ちょうど肩と首の間、曲線になっているところに差し掛かって、いたずら心から噛み付いてみた。かなりしっかりめに、だ。

 するとウキョウの身体に力が入り、震え、引きつった。息がつまり、ひくん、ひくん、と手足が感覚をあけて揺れる。
 この動きは――


「……出ちゃった?」


 俺の問いにウキョウは小さく頷いて答えた。


「ごめん、なさい」
「なんで謝るの。いいよ」
「ぼく、先に」
「まあ噛みつかれて出しちゃうとは思わなかったけど」
「……ごめんなさい」

 
 普段だったら、優しくする。
 どうしてだろう。今はウキョウにいじわるしたくてたまらない。

 前へ回り込み、テーブルへ腰掛ける。ウキョウが今座っている一人がけのゆったりしたソファは、選びぬいて買った。
 白い布張りが気に入って買ったのだけれど、ウキョウが座るとなおさらかわいい。


「ねえ、ウキョウ。Tシャツめくって見せて」


 ぱちぱち、瞬きをしてからそろりと裾へ手を伸ばす。
 ウキョウは嫌がらない。
 けれど羞恥心がないわけでもないらしく、真っ赤になって迷いながらたくし上げる。
 青少年の健やかな、うっすら割れた腹筋、かわいい小さな窪み、そしてその下にボクサーパンツのゴム部分。灰色のそれは、やらしい染みがよくわかる。


「足、ソファに乗っけてM字に開いて。うん、そう。すっごい、いやらしいね」


 こうしているうちにもふっくら盛り上がるフロント部分。若いって素晴らしい。


「ね、なんでウキョウのここは色が変わってるのかな」


 足を持ち上げ、指でそこをなぞる。湿った感触と硬い感触。ウキョウは身体を大きく震わせ、目を伏せた。


「……出しちゃった、から」
「そうだね。なにを?」
「……せーえき」
「いっぱい出しちゃったね? やらしいね」
「うん……」
「これから、どうしてほしい?」


 ウキョウは目を潤ませたまま困ったような顔をした。
 なんでもさせてくれるけれど、自分から何かを要求するのは苦手らしい。急かすように足を動かし、硬くなったそれを圧迫しながら擦ってやる。時々びくんと震えながら、決めなければこのままだと悟ったようだ。

 ようやく口を開いた。


「……ベッド、連れてって。いっぱい、ぎゅーって、して、お腹の奥におじさんの、ほしい。挿入れられて、ごりごりってされたい……」


 言葉と、目に、完全にやられた。
 手を引いてベッドへ行き、押し倒してひたすら身体を触って舐めて甜められて、俺の身体には久しぶりに噛み痕が大量に。

 ウキョウは、たぶん俺以外のたくさんの男に抱かれている。その気配が身体のあちらこちらにあって時々不安になる。

 また、どこかへ行ってしまったら?

 一緒にいようと言ってくれたのに信じきれていない自分。
 ウキョウを繋ぎ止めておくにはどうしたらいいんだろう。

 マナーとして着けるものは着け、ゆっくりウキョウの中へ入り込む。温かくて柔らかくて気持ちが良い。
 抱き締めて挿入して、一息つく。と、顎を舐めてから軽く歯をたててきた。目を細め、心地良さそうな表情で。ゆっくり揺さぶると小さく声を出しながら背中にしがみついてきた。肩にも、噛みついてくる。


「おじさん」
「ん?」
「ぼく、おじさんすきだから。ほんと、だよ?」


 その言葉とともに、俺を受け入れて可愛がってくれている壁が、きゅん、とうごめいた。


「うん、知ってる」


 汗の滲んだこめかみへキス。すると嬉しそうに笑う。
 そして初めてウキョウのほうから唇を奪われた。
 ちゅ、と可愛らしい音付きで。
 そんなふうに煽られたらがんばりたくなる。


「ゆっくり動かれると足りない?」
「んーん、きもちい……」


 がんばる、とはいえ、激しく突き上げるのはあまり好きではない。休みながら長く挿入するのが好きだ。
 ウキョウが深く息をするたびに筋肉が蠢く。その感触がたまらない。
 キスをして、抱き締めて、噛み付かれて、噛み返す。
 じゃれ合いながらの行為はとても気持ちがいい。

 緩やかに中を味わって、動きを止める。
 ウキョウのに指を絡めると液を零して濡らしていた。


「ウキョウはさ」
「ん……?」
「濡れやすいね」


 指先を軽く押し付け擦り付けると、ちゅ、と音を鳴らす。ウキョウの太ももが俺の腰を挟む。
 窪みをことさらゆっくりいじり回してやる。と、とぷりと愛液。


「びしょびしょ」
「っ」


 頬を真っ赤に染めて、涙目で睨みつけてくる。それから腕で顔を覆って隠してしまった。


「ごめんね」
「やだ」
「濡れやすいの、可愛いよ。俺は好き」
「……ん、」


 ひく、と腰が揺れる。好きということばに反応するなんて可愛すぎだ。


「ウキョウは可愛いね」


 好きだよ、と腕にキスをして腰をまた動かした。奥に進んで、そこを擦ってみる。すると俺の方にもゾクッとするような快感が背中を通って走り抜ける。

 やがて、ウキョウが小さく声を漏らした。猫のような甘えた声。
 不規則に中がひくつきはじめた。絶頂が近いのかもしれない。


「いく?」


 腕を解き、それを首へ回してきた。涙をたくさん溜めた目で何度も頷く。頭をなでてキスをしながら、その場所をゴリゴリ刺激した。短く、たくさん突いては押し付けてやる。


「ぁ、っ、あ、ん、ぁ、っ……!」


 先端から勢いなく精子が出てきた。じわじわ漏らしているかのようにお腹に溜まる。
 かわいらしい。
 とろとろ零れたそれを肌の上で混ぜ、口に運ぶ。特に何の味もしなかった。

 ウキョウは、はぁ、と息をつき、鎖骨の上あたりへ噛み付いてくる。揃った白い粒がかけてくる圧迫を感じながら、緩く動いて俺も射精した。
 腰が震える。ウキョウも気づいたらしく、俺の下腹のあたりを手のひらでなでてきた。


「ん……最近お腹に肉ついてきたよね。無駄な抵抗しようかな、そろそろ」


 耳のあたりを撫で、キスをしながら言った。するとウキョウは首を傾げる。


「そうかな」
「そうだよ。なんか下っ腹出てきた」
「そうかなぁ」


 撫で回してくる。太ももの付け根まで手は及んで、あんまりきわどいところを撫でられるものだから、みっともなくまた兆す俺の愚息。


「……おじさんは若いよ」


 わざとなのかなんなのか、そう言って首にキスをくれる。もちろん噛み痕も。
 それからまた首へ腕を回してきた。


「もう少し、してもいい?」


 尋ねると、頷く。
 ちゅ、と唇を触れ合わせたベッドの中。
 何時かもわからない空間で、さんざん身体を触れ合わせた。

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