中国組 | ナノ

翌日のこと


 
「いい天気だけど寒いな」


 いかにも冬の快晴、吐く息さえ白くなる寒さの下、二人がやってきたのは近所の広い公園。意外と人がいる。子どもを連れて行くのは遊具の方、歩いている人や運動にいそしんでいる人は広場の噴水の周り。それらを横目で見ながら、少し離れたベンチへ座る。
 籠を開けると中には白くてラグビーボールのような形の包子が六つ。

 康昊の手は実に器用に餡を包む。魔法のようだと何度見ても感動するし、何度教わったところでうまくいかないので、ほとんど食べる専門だ。


「これが豚肉と葱餡、これが豚肉と茄子餡、これが……なんだ、日本語……ウイキョウだっけか。草みたいなやつ」
「草ですか」
「ああ。草から行くことをお勧めする。消化促進腸内環境正常化」
「じゃあ草からいただきます」


 さんざん草草言ったものの、かぶりついてみると草のような緑の味ではなかった。香り高い、明らかにハーブ系統の味わい。少し甘い生地とよく合って美味しい。作ったばかりなので湯気が立ち、身体が温まる。


「確かにこの季節に食べるの、おいしいです」
「そうだろう。ドンベイの寒さの中で食べるともっとうまいぞ」
「どんべい……ああ、東北」
「そう。冬まっただ中に連れて行ってやるから待ってろ。強風だから、背の高いお前には辛いかもしれない」
「寒いのは慣れてますから、大丈夫です」
「そうか」


 あとはもさもさ、黙って包子を頬張る。幸せ。
 ちらちら隣を見ると同じように幸せそうな恋人の姿。包子に隠れるようにして、こっそり笑った。

  

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