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番外編・佐々木と談(未成年)


 

『無題の関係』談がまだ若いときに佐々木とそういうことがあったよ、というお話。あっさりですがえっちなことをしています。
「談は蓬莱とじゃなきゃだめ」
「佐々木はシノ以外とはだめ」
そういう方はどうぞお戻りください。得はないです。





 さまざまな形での風俗店を展開している佐々木。ほとんどは合法だが、一部非合法の経営内容を負う店もある。明らかな未成年も雇っている店や、それを売りにしている店、十八歳以下の男女と触れ合うことのできる店など。変わったもので、なぜだかこういう店には社会的地位のある顧客がつきやすく、巧い具合に法の目を潜り抜けることができる。大切なのは人の繋がりだ。

 さて、その中の一つ、一部会員制のホストクラブ。
 表向きはそこらへんにあるホストクラブとなんら変わらない。けれど一定の金額を払うとか、ある程度の常連客になるとかすれば会員になる権利が与えられる。会員になることで受けられるのは、表にいない子からのサービス。未成年からかなり年上のホストまで、誰でも気に入った子を指名でき、性的な行為も可能。表にいる子でもいいが、大体は未成年を指名する。
 佐々木はオーナーでありながら、客としてその店へ通っている。オーナーであると知っているのは店長だけで、ボーイやホストなどの従業員は誰も知らない。別に店の中を視察してやろうとかそういうわけではなく、ただ単純に、純粋に遊びたいだけだ。

 会員のための個室、VIPルームに通され、適当に酒を注文して柔らかなソファに座って待つ。あまりぎらぎらしていない、シックな部屋をいつも選んでいるのは、スワロフスキーが輝いているとか鏡があるとかだと落ち着かないから。そういう部屋を好む客も多いが、自分には合わない。こういう客は他にもいるようで、いくつかあるシンプルルームはいつも予約で満員だった。

 運ばれてきた日本酒に口をつけ、あっという間にボトル半分をあける。
 そのうちに、指名したホストがやってきた。


「また来たんですね」


 少し嫌そうな顔で言う、まだ明らかに幼さを残したホスト。手足が長く顔だちもかなり整っていて見栄えが良い。真ん丸の二重の目には浮ついたところがなく、落ち着いている。つんとした鼻に、赤い唇、くすんだところのない艶っとした白い肌。さらさらした金色の髪に、白いシャツと黒いデニム。ラフな恰好で来るようにと指示したのは佐々木。別に夢を見たいわけでもなんでもないから、日常的な方が興奮するから、そういう理由だ。


「毎日来たいくらいだけど」
「暇なんですね」


 そう言いながら、隣、肩が触れるほど近くに腰掛け、背の低いテーブルの上に置かれたつまみやお菓子類に勝手に手を伸ばし、口にする。長方形のブラウニーを口にくわえるだけでもなんだか性的な雰囲気のする、色っぽい子だ。


「何、お腹空いてるの」
「最近あんまりご飯食べてないんで」
「痩せちゃうよ。がりがりの子って好みじゃないんだよね。あんまり痩せないでもらっていい?」
「そんなん、俺の勝手ですし」


 一見すると人懐っこそうなのに意外と素っ気ない態度。何度か指名しているというのに態度が軟化する気配はない。ひょいと肩をすくめた佐々木は太股へ手を滑らせた。


「……やっぱり、少し肉が落ちたんじゃないの、談」
「そうかもしれませんね。デニムが緩いですし」


 そう言って、シャツを捲り上げてウエスト部分を見せてくる。ベルトの穴も普段使っている部分と異なるらしく、使い慣れた穴よりひとつ絞っているし、生地が余っている。指を入れると冷たかったのか、肩が揺れた。


「全身見たいから、全部脱いでよ」
「ほんとストレートですね、佐々木さん」


 採用面接の際に店長から送られてきた履歴書を見ているので、幾つなのかはわかっている。若くて、こんな店にいなかったらその辺りで制服を着て歩いているだろう年齢。
 シャツを脱いで現れた上半身はそれなりに鍛えられた感じだった。ズボンも下着も脱いで現れた下半身は、上半身が細いわりにはむっちりめの下半身。特に太股辺り。なんらためらいのない全裸を見せ、目を合わせてくる。佐々木は溜息をついた。


「……恥ずかしがってくれる方がいいって、いつも言ってるんだけど」
「恥ずかしくないんで」


 さらりと金髪が揺れる。毛先は肩に触れるほど長い。
 佐々木は、背凭れから起き上がって身体を乗り出し、手を伸ばして丸い尻を鷲掴みにした。もちもちとした肌、肉の、柔らかな感触が手のひらに優しい。
 メインは尻の感触で、普段は見て、触るだけで終わり。なのだが、今日はどうしたことかせっかく目の前にある、と思ったので、おもむろに性器を咥えた。普段ならされないし突然のことでさすがに驚いたのか、手の中で尻の筋肉が緊張する。宥めるように口を動かし、手を使わないままに出しいれしたり、口から出して舐め上げたり、あっという間に高められた談。


「談、舐められるの好きなの?」
「すき、です、多分」
「多分?」
「あんまり、されたことないんで」


 はぁ、と熱い息を吐く。見上げると頬が赤く染まって、目が細められていた。慣れていないぎこちなさのようなものが見え、佐々木は微笑った。それはまるで獲物を見つけたようなもの。談が若干身体を動かすが、許さないとでも言うようにより尻を引き寄せ、兆し始めているそれを再び口に入れた。
 芯を持ち、あまりべとべとしていない若い液体をこぼし始める。
 もごもごされてたまらない談は、佐々木の白い髪に指を絡ませた。腰を引かせたいのに尻を押さえられて自由にならない。普段ならば揉んでくるだけなのに今日はどうしたのだろう。不思議に思うけれど聞くこともせず、近付いてくる高みに若い身体をひくひく揺らす。


「っ、ささき、さ」


 ちゅっと口から音をたてて出し、先を細かい動きで舐める。さほど長い時間そうされていたわけではないのに、なぜか酷く気持ちがよくてとろりと白い液体が出てしまった。それも丁寧に舐め取る。その赤い舌の動きは卑猥以外の何物でもない。快感でいっぱいの談には見えていないが。
 震えている談を、毛足の長いブラウンのラグの上へ誘導して仰向けに寝かせた。佐々木は胴の横辺りへ膝を突く。柔らかな太股を揉みながら上半身を撫でるだけで、いつになく身体を反応させる。まるで小鹿ちゃんのようだ。可愛いところもあるんだな、と、何度となく通っているのに知らなかった顔。
 快感が多少収まった頃に、談は佐々木を見上げた。


「佐々木さん、するんですか」
「うん。だめ?」
「別に……」


 真っ赤になった頬、潤んだ目。忙しく上下する談の薄い胸でピンク色の突起も一緒に小さく息づいている。乳輪からふっくらとした、実にいやらしい形のそこにふっと息を吹きかけるとひくと腹筋が震えた。胸も随分感じるようだ。


「談、こっちは? 使ってる?」


 足を開かせ、尻の狭間へ指を滑らせた。そこは柔らかくなっているが、頻繁に使用しているかそうでないかでいろいろと変わる。談に尋ねると、小さく頷いた。


「でも、たまに、です。俺の客はあんまりセックスに興味が無い人が多いから」
「そうなんだ」
「はい」


 どこか恥ずかしそうな様子を見せる談。それが本当なのか、ふりなのかはわからない。どちらにしても優しくしたほうがいいだろう。そう判断した。


「意外と可愛いね、お前」
「かわいい……?」
「うん」


 なんとも言えない顔で見上げてくる談の額にキスをする。初めてのことに、不思議そうに瞬きをした。そういうきょとんとした顔もけっこう愛らしい。ふんと笑った佐々木は、手を伸ばしてすぐそこの棚を開け、いくつか並ぶ新品のローションを物色する。熱感があるというものを取り出し、手のひらに多めに出してある程度熱を持たせ、指へ絡ませると尻の狭間へ少しずつ送りこむように撫でた。細い指なので割にすんなりと入る。出しいれしたり奥に薦めたりするたびに膝が揺れ、小さく声を洩らす。ぐちゃぐちゃ、音をたてるようになってある程度緩んでくると、すっかり快感にとろけた目をしていた。

 足の間に入りこんで、肩の辺りを抱いてやりながら挿入する。すると、佐々木の首に腕を回してぎゅうぎゅうと抱きついてきた。耳元で喘ぐ声には年齢相応の幼さがあって悪くない。


「そうやっていつも素直だったら、気に入るんだけどな」
「はぁ……っ、佐々木さん、もっと」
「もっと、何? 全部口に出せたら、やってあげるよ」
「もっと、奥がいいです……おく、いっぱい、して」
「奥、好きなんだ」


 こくこく頷く。耳の辺りへ口づけて、ゆるゆると奥を攻めてやるとしきりに声を出した。実に気持ちよさそうな声。ぐいぐいと奥を突きまわされ、ときどき腰を動かして外してみると嫌がるように腕へ力を込める。


「あ、そういえば生でいれちゃったから中出しするね。ごめんね。変な病気とか持ってないから安心して」


 全然気にしなかった、と口にすれば、ばしりと背中をはたかれた。


「さいてい……」


 喘ぎと一緒に耳に吹き込まれた言葉に、佐々木は笑って強めに中を犯す。適度にしまって実にいい内部。緩すぎず、狭すぎず。しかし蠢いてちゅうちゅうと吸いついてくるような動きがある辺り、処女とは違う。言葉通り、本当にときどき、使っているようだ。
 たくさん好きな場所を攻められ、同時に大きな手で性器を擦られ、佐々木のあとにしばらくしてから達した。薄い腹に、さきほどの物より薄いだろう精液を吐き出す。
 震える身体を宥めるようにさすり、髪を撫で、引きつるように蠢くのを楽しむ。


「……佐々木さん、意外と淡々としてるんですね」
「ん? どういうこと?」
「もっと……変態的なセックスをするかと思っていました」
「どういう印象持ってんの。別に、普通だよ」
「いや、絶対に普段こんな感じじゃないと思います」
「普通だって」


 佐々木に疑わしい眼差しを向けて、シャツを羽織る。行為の最中に見せた可愛らしさはどこへやら。また素っ気ない感じに戻ってしまった。しかしこの顔があるからますます可愛く見えるのかもしれないと、頷いてテーブルに紙幣を置く。その厚さはちょうど、普通の煙草一本と同じほど。


「痩せないようにがんばって食べてね」
「はい」
「じゃ、また」


 身支度もそこそこの談を振り返ることなく、出て行く。
 扉が閉まるのを見届けた談は、だるい身体をようやくラグから引き上げた。べたべたされるよりもこちらのほうがずっといい。どうせ相手は客なのだから。好きな相手でもなんでもなくて。しかも行為自体もあっさりしていて悪くなかった。
 掴みどころのないふわふわした男、佐々木。なんとなく危ない雰囲気が漂っているので突っ込んだ会話をしようとは思わない。ただ話されたことに答えるだけにしている。

 まさかこのあと長く付き合っていくとは、当時の談は全く考えていなかった。
 テーブルに置かれた札を手に取り、ズボンと下着を身につけて部屋を出た。佐々木が談を抱いたのは、このたった一度だけ。





「佐々木社長、何見てるんですか」
「んー、別に。談、大人になったなあと」
「見てないで、手を動かしてください。このあとシノさんとお会いになるんでしょう」


 鬼島に比べると随分冷たい対応だ。尻を撫でても当時のように、特別感情を映していない目で見てくるだけ。


「中身は変わんないね」
「人間、そうそう変わりませんよ」


 ただ違うのは、ぺしっと手をたたき落とされること。
 あの頃と今とどちらが良いか、なんて考えることは、佐々木も談もない。



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