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佐々木さんと年越し




 水音に重なる甘い声が浴室に反響する。
 もちもちした肌にぷくんと膨れた小さなピンク色がふたつ。舐めてしゃぶって、弾力あるその感触を楽しむ。ちゅ、と唇を離して顔を見ると、白い頬を真っ赤にして薄目でふぅふぅ息をついていた。


「……シノちゃん、こんなふしだらな年越しでいいのかな」
「おじちゃんがいきなりおっぱい揉み揉みしてきたから」
「そうだね。俺が悪かった」


 今日は大晦日。
 昼に大掃除をして綺麗になった部屋へシノちゃんを迎え、年を越す前に身体を清めなければと何の気無しに一緒に風呂に入り、なんとなく身体を洗ってやって、なんとなく胸に惹かれて揉みしだいたらついその気になってしまった。
 この年になっても惑わされっぱなし、餅の如く柔らかな白肌に勝てない。清めるつもりが煩悩だらけだ。

 真面目に湯船に浸かり直すと、シノちゃんが寄りかかってきた。俺を背もたれにゆったり沈む。


「おじちゃん、今年はどうだった?」
「今年は……盛ったなぁ」
「さかった?」
「シノちゃんにえっちなことしっぱなしだったでしょ。会ってえっちして会ってえっちして、って」
「そうだっけ?」


 俺を見上げてきょとんとするシノちゃんに頷く。思い返すと俺は酒に酔うわエロいことを強要するわ貢ぐわで、いいところのない、ただのすけべ親父だった。
 一回り二回り違う男の子に甘え、幼い身体に手を出し、様々な事柄を教え込み、貢ぎ、また手を出し、酒を飲めば甘えかかる。訴えられたら豚箱行き間違いなしだろう。猥褻行為で。
 しかしそれは二者の間に恋愛感情があれば咎められなかったような気もする。あ、未成年だからダメか。


「シノはおじちゃんとたくさん会えて嬉しい一年だったよ?」
「そう?」
「うん。いっぱいデートできたし、お家にお泊りできたし、買い物行ったり食べに行ったり、すっごく楽しかった!」


 にこにこするシノちゃんは、出会ったときから変わらない純粋さで輝いている。あの淫らな一面は普段どこに隠れているのだろう。そう思うほどに純白の笑顔でいつも笑いかけてくる。


「おじちゃん、来年もたくさん一緒にいてね! あっ、来年だけじゃなくて、ずっと!」


 きらきら笑う。ああ愛くるしい。
 何年先も俺みたいなクズと一緒にいてくれるのではないか、なんて、淡い期待をするほどにシノちゃんが好き。


「うん、もちろん」


 答えながら髪にくちづけ。
 風呂場の時計は夜十一時をまわり、もうすぐ年が明ける。なんでもないような夜なのに、特別な一夜。


「お風呂から上がったら蕎麦茹でなきゃだな」
「シノも! お手伝いするー」


 この純粋さが、来年も俺を浄化してくれますように。



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