めかくし
「きしまさん」
「いるよー」
「どこ、ですか」
「ここ」
後ろから抱きしめると、身体が震えた。
「大丈夫だよ。鬼島さん以外にいないから」
ナツくんのこんな姿、誰にも見せたくないからね。
剥き出しの肩に口付け、腕を回している腰を撫でる。背中には薄く筋肉の線が浮き、腰から尻に至る線は硬くてもまだまだ不確か。
「ナツくんの身体は綺麗だね」
「えっ……ひゃ」
「大丈夫だから、はい壁に寄りかかって」
後ろから脇を掴み、立たせて俺は前へ。ナツくんの肩を壁につけてやり、数歩離れた。手は繋いだままで。
「きしま、さん」
不安そうなナツくんは服を着ていない。裸で、なにもかもを俺の目の前に晒している。何度見ても飽きずに見とれる身体。うっすら割れた腹筋や、兆していない性器、しなやかな足……どこもかしこも本当に美味しそう。
ふふ、と笑うと微かに首を傾げた。見えないからわからないのだろう。もう片方の、繋いでいない手を伸ばして顔に触れてくる。
「……鬼島さん」
「うん」
「なんで、こんな」
「たまにはいいでしょ? 見えないのも」
頬を辿る手をそのままに、柔らかな性器を握り込む。ひく、と身体が震えた。足の間に膝を割り込ませて身体を近づけ、ナツくんの背中をすべて壁に凭れさせる。
急に扱かれても、若いからかすぐ反応。手で優しく弄ってあげるとたちまちぬるぬるになり、大きく育つナツくんのそれ。なかなか太くて立派だが、ある意味でまっとうな方法で使う機会は全く無くて、更に今は俺の手しか知らないと思うと歓喜で背中が震えるほどに嬉しい。
硬くなればなるほど、濡れれば濡れるほどに声を漏らす。はぁ、と当たる熱い息。
「ん、ぁっ、あ、や」
「いける?」
尋ねたら何度も頷き、震えながら必死にしがみついてくる。その様子がとても可愛い。口の端から流れた涎を舐め取り、上下させている手を早めると、感極まった声と共に白い液体を吐き出した。
「あ、ああ、」
ふる、と腰が震える。気持ち良さそうな声がたまらない。抱き寄せて腰を撫で、手についた精液は舐める。しょっぱいようなさらさらした味。
そこから誘導して布団の上に座らせ、目を覆っていたネクタイを解いた。涙で濡れたからか少し重たくて、下から現れた瞳には明らかな不安の色がある。
「そんなに怖かった?」
「鬼島さんのばかっ」
「うんうんごめんね。鬼島さんが悪かったね」
涙目のままぷりぷり怒るナツくんにキスをしながら謝る。発端は、シーツの隅で丸まっているネクタイ。
しているところを見たいというから、持って来て目の前で締めてみた。
「……違和感、ありますね。見慣れない……」
「だろうね」
ナツくんの手のひらに、解いた布切れを垂らしてあげる。物珍しそうに見つめる姿とネクタイとを見て、湧き上がったのは欲情。
「目隠し、嫌だった?」
「当たり前じゃないですか」
素っ裸で、可愛く睨みつけてくるナツくん。ごめんねと繰り返しながら肌に触れる。敏感な青少年はすぐ、熱くなった。
「もうしないでくださいね」
「そんなに嫌だったの?」
「……鬼島さんの顔が見られなきゃ、いやです」
またそうやって、たまらない。
黒髪を撫でて目元に口付け。可愛い。
「もうめかくししないから、もうちょっとしていい?」
聞きながら身体を押し倒す。抵抗しないということは、了承だ。
可愛いナツくん。大好き。
口には出さず、ただただキスを繰り返した。
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