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 さて、こちらは海沿いの会員制高級医療リゾートホテル。その名の通り、病院とホテルとが一体になった施設だ。3LDKの個室にコンシェルジュやらシェフやら、全てのスタッフが専属でついて治療の手助けをしてくれる。もちろん医師看護師コメディカル分野に至るまでも専属。莫大な金がかかるが、この男には関係ない。


「お熱測りましょうねっ」
「じゃあ俺はお尻の肉付きチェックでもしようかな」
「もうっ、おじちゃんのえっち!」
「看護師さん、お仕事してください。お熱測るんでしょ」


 激ミニすけべナース服を愛する恋人に着せ、ベッドに寝たまま尻を揉みしだく。真っ赤になるシノに、佐々木は満足そうに目を細めた。


「おじちゃんのきれいなお肌にいっぱい傷痕できちゃったね」
「別にいいよ、シノちゃんしか見ないし」
「悲しくなっちゃう……」
「整形技術である程度なんとかなりそうだけどね。背中の傷とかほとんど見えなくなるって聞いてるし」
「腕は?」
「痒い」
「そうじゃなくて」
「機能的には問題ないらしいから、これからもシノちゃん両腕でぎゅってできるよ。嬉しいねぇ」
「よかった」
「泣かないで、シノちゃん。まだ抱きしめてあげられないから」
「おしりもめるのに?」
「うん」
「おじちゃん治るまでずぅっとシノいるからね」
「ありがとう。心配かけてごめん」
「おじちゃぁぁん」
「あー、本格的に泣いちゃって」
「だいすきぃぃぃ」
「うん、俺も愛してる」


 しばらく意識不明だった佐々木が目を覚まし、それから退院するまで相当な時間を要した。その間中ずっと、可愛らしい衣装のちびっこが甲斐甲斐しく身の回りの世話をしていた。
 ちなみに周りからは兄妹か親子に見られていたそうである。


「その花、きれいだね」
「さっき一階で貰ったのー! おじちゃんぽいよね」


 青いバラが咲く花瓶を横に、穏やかに笑う佐々木。シノはその額に優しく口付けた。




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