猫の日(四年ver.)[1/1]
「にゃんにゃーん。」
ずしり、と背中に重みを感じた。
「なんのつもりだ喜八郎。」
「にゃー、にゃんにゃん、にゃーん。」
「おい喜八郎いい加減にしろ。そして退け、重いだろう。」
「にゃあーん。」
にゃあにゃあ言い続ける喜八郎に多少イラつきながら相手を続ける。 まぁ、四年も一緒にいるのだからこいつの電波っぷりにも慣れたさ。
「おい滝夜叉丸。どうしても課題がわからなくて、………なにしてんだ?」
「おお、三木ヱ門!いいところに来たな。課題だろうがなんだろうが教えるから助けてくれ。」
いつになく良いタイミングでわたしを訪ねてきた三木ヱ門に喜八郎のことを話した。
ちなみにこいつは、わたしたちが話している最中ずうっとにゃんにゃんと騒がしかった。
「つまり、喜八郎をなんとかすればいいんだにゃん、…あ。」
「三木ヱ門、お前もそういうキャラだったのか。相談したわたしが愚かだったな、すまにゃ……、すまない。」
「違う!喜八郎のがうつっただけだって!というか滝夜叉丸こそすまにゃいってなんだよ。」
「ううううるさぁーい!」
「にゃんにゃんにゃ、……あ、タカ丸さーん。」
「あれぇ、どうしたの喜八郎くん。」
「にゃー。」
「あーそっか、今日猫の日だもんねぇ。」
あれ、喜八郎お前ちゃんとにゃん以外も話せるんじゃないか。 というか、タカ丸さんはなぜ喜八郎の言ってることがわかったのだ?
「滝夜叉丸くーん、三木ヱ門くーん!二人ともおいでよー。」
喜八郎の頭を、いや髪を触りながらタカ丸さんがこちらに声を掛けてきた。 まあ行こうではないか、と三木ヱ門に声を掛け部屋を出た。
「喜八郎くんがね、滝と三木もにゃんにゃんしよーよ、って。」
「いや、しかし。」
「キャラじゃないですし。」
「そうかなぁ。ぼくもやろーっと、にゃんにゃーん。」
えへー、と笑いながら勧めてくるタカ丸さんにとうとう折れてしまった。
「今日だけですにゃん。」
「もう一生やらないにゃん。」
ほのかに頬に赤みを散らした三木ヱ門を見て、わたしもああなっているのだろうか、と思った。
「二人とも可愛いにゃん。ね、喜八郎くん。」
「にゃーん。」
……あぁ、穴があったら入りたい。 そして今日の記憶を抹消したい。
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