い組の底辺[3/3]
お前のせいでクラスの平均点が下がるんだと言われ続けること五年間と数ヶ月。俺だって頑張ってんだ、この間の座学のテストは八十だったんだからな。お前らがおかしいんだ九十後半ってなんだよ人間じゃねぇよ。実技だって上位に食い込めたんだからな。まぁ、試験対象の武器が俺の得意武器だったからだけど。 だからそろそろ底辺という不名誉な呼び名をなんとかしていただきたい。
「おーい、底辺どうしたー?」
「おせんたくでちゅかあ?」
ほらねほらね、イラッとするんだよわかるだろ? うっせえバーカバーカ!と怒鳴ると馬鹿はお前だ、と笑われた。いや、お前らに比べりゃ馬鹿だけどもな、全体で見てみようぜ俺結構上位になるから。
あー…、ちなみにさっきの奴らはクラスメートAとクラスメートBだ。
俺が底辺だからといってい組との仲は特に悪くない。むしろ冗談言って笑いあえるぐらい仲良しさ。勉強中に話しかけるとすっげぇ睨まれるけどな。
そんなこんなで制服についた血を綺麗さっぱり落としました。でもこれ冷たくて着れないや。替え取り行くのも面倒いし、まあいーや。
よし、仙蔵に褒めていただこう。制服を片手に猛ダッシュをしてあいつらがいるであろう校庭に向かう。
「せーんーぞー!もーんーじーろー!」
「はしたない。」
「やかましい。」
「手厳しいっ!」
やかましいのは謝るけどさ、はしたないってなに。そんなにはしたなかったか?ま、いっか。
「そんなことより、どうだ!制服綺麗になったろ?」
「ふむ…。一点が妥当だな。」
「なんで!?」
「しわが汚ならしいだろう。ぴんとしないか、阿呆。」
ぺちん、と頭を叩かれる。楓くん泣いちゃうよ、いいんだな?
「楓、良い知らせがあるぞ。」
「え、なになに?下級生が俺の頬にちゅーしにくるって?」
「そんなこと言っとらんわバカタレ。喜べ楓、仙蔵と長次と尾浜と鉢屋と平がお前のために飛び道具の使い方を徹底的に指導してくれるってよ。」
「え、俺別に接近戦らぶだから問題な…、ごめんなさい。」
「そうかそうか嬉しいか。そんなに喜ばれるとわたしまで嬉しくなってくるではないか。」
喜んでねーし。お前に炮烙火矢構えられたら普通謝るっつーの。つーか笑顔が怖いよ仙蔵さん。どす黒いオーラが出てるよ。
「も、文次郎助けろ!俺飛び道具なんて扱ったら死んじゃう!」
「悪いな、とばっちりは御免だからよ。あいつ相当根に持ってるから気ぃつけろよ。」
俺の耳元でそう言うとギンギーンと声高らかに走り去っていった。 文次郎の馬鹿ぁぁぁあ!裏切り者!人でなし!
このとき俺は文次郎を罵るのに必死で、仙蔵が薄ら笑いを浮かべていることに気が付けなかった。
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