生物委員長様[2/2]



「お前下級生はどうした!?つーか、お前足速くね!?ちょ、ま、い組の底辺ナメんなよちくしょおおおお!」

「下級生は毒虫捜索中ですっ!鍛えてますから!実技派ですから!てか、い組の底辺とか自慢じゃないですからね!?」

「おまっ、俺の嫁たちになんてこ、」

「楓先輩っ、そこ花子が!!」

「うおおっ!?」


虎若の声に反射的にその場一点を飛び越える。といってもそう格好良いものでなく、着地時にスチャだなんて効果音は無い。顔面からスライディングの如く着地したので、どちらかといえばベチャやズザザの方がしっくりくる。


「虎若ナイスッ!先輩捕まえ、」

「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!虫虫虫ぃぃぃいぃぃい!」


あの馬鹿野郎、虫籠持ったまま俺に跨がりやがって!死刑宣告か、先輩虐めかこんにゃろう!

喚いていたらハチがなんの嫌がらせか虫籠を俺の顔の目の前に置きやがりましてね、こいつのが体格良いから力ずくじゃあどうにもできんのですよ。
本気だしゃなんとかなるかもしれんけどね、俺ってば大人だから。
……まぁ、それから孫兵と孫次郎と一平がバラバラとやってきたのでハチを蹴り飛ばし、一年三人に癒しを求めて抱き付いた。

いや、俺大人だから、まぁ、後輩を容赦なく実習のノリで蹴り飛ばしたりなんてそんなまさか、ねぇ?
だってさ、誘惑には勝てませんよ。ああもう開き直ってやるよ! 蹴って悪いか、さっきにやってきたのはあっちだもん。俺、悪くない。


「先輩、全部声に出てます。だもん、とか言っても可愛くないんでやめてください。」

「孫兵ってば辛辣!つーか三年生が皆俺に厳しいんだけど、ツンデレで俺の気でも引くきか?可愛い奴らめ。」


ふっ、と悟ったように目を細めた。どうだ格好良いだろうそうだろうそうに決まっている。


「違います、本心です。あと思ってることを全て口に出す癖直してください。見てて痛いです。」

「楓先輩、今日の活動は終わりなんですか?捜索だけですか?」

「もー、一平ちゃんてば良い子なんだからぁ。今日は終わっていいよー、またね!」

「楓先輩、あんまり自重しないようなら失礼承知ではっ倒しますよ。」

「やだな、ハチ。お前が俺に勝ったことが一度でもあっただろうか。答えは否だ。」


ハチにしては珍しいくらいに冷えきった、汚物を見るような目に苛立ちを覚えた。悪いな、お前の蔑んだ目を見てもぞくぞくできないんだ。

息があがるどころか興奮すらできない。二年前のお前になら背筋をかけるなにかを感じることができた筈なんだかな。

結局、俺の言動にプッツンしたらしいハチに飛びかかられて、組手をするはめになってしまったのは俺の自業自得なんだろうか。



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