飛び道具は天敵[3/3]



「楓、もしお前が崖から飛び降りると言ったらわたしは笑顔で見送る自信がある。」


あらー、仙ちゃん笑顔が怖いわあ。せっかくの美人さんが台無しよう。まあ俺もそれなりに美人さんだけどな!


「黙れ気色悪い。」


だから何故心が読める。


「そんなことより続きだ。長次、手裏剣。尾浜、的を遠ざけろ。鉢屋、平、手本を見せてやれ。竹谷は楓が逃げたら確保するように。」

「逃げねえよ!?」


長次に手裏剣を押し付けられ、勘は元気良く的の方に走り、三郎と滝夜叉丸は手裏剣を取り出し、ハチは苦い笑みを浮かべている。なんだこの状況。
一年早く帰ってきてくれ頼むから。ああ、俺のマイエンジェルはいずこ。


「先輩が使いに行かせたんじゃないですか。」

「…ハチまで俺の心の声が?」

「思いっきり出てました。」

「おやまあ。」

「それ、喜八郎の台詞です。」

「細かいことは気にするな!」


親指をグッと立てていい顔をしてみる。知ってたかお前ら、くのたまはこの顔に赤面すんだぜ。

数秒後、貴様は気にしろ!とすごい剣幕のS法…作法委員長が投げてきた焙烙火矢をぶった切ったら今度は拳骨がとんできた。
あんたは俺をどうしたいの。


「!うっわ、てめっ、さぶろおおおお!!なにひょう刀投げてんだあっぶねーな!!」

「おっと、すみませーん。的かと思いました。」

「それ以前に投げるもの間違ってんだよ手裏剣投げろ手裏剣!」


痛いよ痛いよ仙蔵のバーカとか思いながらぶたれたところをさすっていたら、鉢屋三郎の得意武器が飛んできました。
なので柏木楓は大げさなくらい横によけました。ちゃんとよけないと怪我する可能性が高いので。
そうしたら、的を移動させ楓の後ろで石ころをつま先で遊ばせていた尾浜勘右衛門の頬をかすって、一直線上にある木の幹に突き刺さりましたとさ。

黒い笑顔を貼り付けて万力鎖を器用にくるくると回す勘を、俺は忘れないと思う。
待て鉢屋!と逃げ出す三郎を追いかけていった勘なわけだけど、待て待てー捕まえてご覧なさーいきゃっきゃうふふな追いかっけこでないことだけは伝えておこう。


「長次、わたしもう嫌だ。」

「…わたしも、疲れた。」

「ああ、折角の休日に呼び出してすまなかったな。戻っていいぞ、平。竹谷はあの阿呆の躾をしっかりしておけ。」

「いえ、失礼します。」

「え、ええ!?そんな無茶な!」


どうやら得意武器が飛び道具な奴らによる、俺への飛び道具講座だかなんだかは終了したらしいです。
なのでもうすぐ帰ってくるであろう一年生たちとイチャイチャしながらおやつを食うべく、門の前で待ち構えてようと思います。ヒャッホオウ!


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