飛び道具は天敵[2/3]
「あの、さ。お前ら甘味食いたくねぇ?」
「食いたくない。早くやれ。」
「ちっ。」
ちくしょうやっぱダメか。
こうなったら奥の手だ。 キラキラと目を輝かしている一年をこっちにおいでと手招きする。なんですか?と小首をかしげながら歩み寄ってくる。可愛いなあ。
「これをあげるから、俺たちの休憩用の甘味を買ってきてくれないか。」
お前たちのおやつもついでに買っておいで、と付け足せば元気な返事が返ってきた。 いってらしゃいと送り出して、ブチギレ寸前の飛び道具使い共に向き合う。
「さあ来い!」
「ようし、次行くぞ。」
「ちょ、先輩待った!」
「やめてください!」
「きゃあああ!!」
特訓開始から数十分。一言で言うなれば、地獄絵図である。
「だから言ったじゃんか。ノーコンだって。飛び道具無理だって。」
「えばるな阿呆!」
「あきらめるな…。」
ふんぞり返ったら頭叩かれた。痛い。 そろそろあの子たち帰ってくるかな。早く帰ってこないかな。
「あれ、楓先輩?」
「おお、ハチ!た、助けてくれ!先輩を止めてくれ!」
「三郎?…て、うわ!なんだよその格好。」
なんだ、ハチか。良かったなーお前これに参加してなくて。してたら今頃元々酷い髪がもっと酷くなってたぞ。
「甘いな鉢屋。ハチごときで止められる俺ではないよ。」
「ひ、酷い!」
「そうだな、ギリギリ四年までが俺のストライクゾーンだ。三年以下はドストライクだあれは犯罪級に可愛い。」
「滝夜叉丸、出番だ。お前にしか無理だ。」
きゃあ恥ずかしい。好み晒しちゃったあ、てへっ。
…おい、なんだその犯罪だけは起こすなよみたいな視線は。 そういえば前に、留と同じ扱いされたな。全く侵害だ。俺はショタコンじゃあない、変態という名の紳士なのだ。 だから、なんだそのうわあみたいなドン引きの眼差しは。
戸惑ったように瞬きを繰り返す滝夜叉丸。俺を見ながらため息を吐く仙蔵。美人はなにをしても美人。 だがしかし、俺は綺麗よりも可愛いのが好きなんだ。滝夜叉丸より三木ヱ門派だ。悪いな。
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