福富しんべヱ[1/1]
「おっしげちゃーん!」
「雅先輩っ、どうしたんでしゅか?」
「あのね、今日はハロウィンっていってお菓子をあげないと悪戯されちゃう日なの。」
「い、悪戯でしゅか…?」
「…多分。」
長次と仙蔵は"とりっく"がどうのとか言ってたけどよくわかんないからスルーしておいた。
「というわけで、ボーロを作りましょう。」
「いいでしゅね。 あの、それ、しんべヱしゃまに…。」
「そのつもりだよー。 おいしーの作ろうね。」
「はいでしゅ!」
と、まぁいろいろとありましてできました。 え?いろいろってなにか?いろいろはいろいろだよ。 生焼けだったりとか、できたやつを小平太に拉致されたりとかね。
そんなこんなで、やぁっとできたんですよ。
「さぁ、邪魔が入らないうちにしんべヱのとこ行こうか。」
「そうでしゅね。あ、しんべヱしゃまならきっとあそこだと思いましゅ。」
てけてけと走り出したおしげちゃんについていくと、いましたよ。 すごいな、おしげちゃん。
「しんべヱしゃまぁー!」
「あっ!おしげちゃん!…と、雅先輩。」
「おいこら、なぜ私でテンションを下げた。」
しんべヱはえへへ、と笑うと鼻をひくひくとさせいい匂い〜、と幸せそうな顔をしている。
ボーロってそんなににおい強かったっけ?
「あのね、しんべヱしゃま。雅先輩とボーロ作ったんでしゅ。」
「ボーロ!?ぼくも食べたいなぁ。」
「しんべヱのために作ったんだけど。」
「そうなんですか?わーい、やったぁ!」
「はい、おしげちゃん。」
手に持っていたボーロをおしげちゃんに渡すときょとんとされたが、すぐに意味を理解したらしい。
「しんべヱしゃま、あーん。」
「あーん!んー、おいひぃ。」
おぉう、ハート乱舞だ。ピンクのオーラが漂ってるよ、私場違い? このままだと、私空気になるよ。
「しんべヱ。おしげちゃんにも食べさせてあげたら?」
存在が消えないようになんか喋ってないと…。 ていうかなに?この子たちは付き合ってるの?恋仲なの?リア充なの?
「雅先輩、雅先輩!」
「…あ?あぁ、なに?」
「あーん、してください。」
「……。」
なにがどうしてこうなった。 私の脳内が暴走してる間になにがあったんだ。
なんで、しんべヱが私にボーロを一欠片さしだしてるんだ。 おしげちゃんもなにスタンバってんの!?
口を開けるとボーロが口の中に入ってきた。なにこれ恥ずかしい。
「先輩先輩、あーんしてくだしゃい!」
あぁ、恥ずかしくて死にそう。むしろ死にたい。 しんべヱに関しては食満に見られなくて良かった、と心底そう思った。
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