川西左近[1/1]
左近ちゃんだ。 実習だったら一日会えてなかったんだよねぇ。
これはもう左近ちゃんで疲れを癒すしかないっ!! ていうか私は菓子をたくさん持ってきたんだった。
そこ!実習中になにやってんだとか言わない!
「左近ちゃん、左近ちゃんっ!」
「あ、桜崎先輩。」
「あのね、今日って、」
「あぁっ!! また怪我したんですか!?」
「え、うっそー。今日はしてな…、あら?」
「いっ、いーかげんにしてくださいよ!なんで怪我してるのに気づかないんですか。」
「いやー、あっはっはっ。」
「笑い事じゃないです。」
「実習に怪我は付き物だよ。」
「……。」
あれ、ちょっとかっこよく言ってみたのに無反応。
ていうか、その目やめて。上目遣いとかやめて。私の理性が崩壊するお願いやめて左近ちゃん超可愛い。
「先輩、顔怖いです。」
「あらま。」
いけないいけない。頬が緩んでたみたい。
「とにかく、医務室行きますよ。」
「はいはーい。ねぇ、左近ちゃーん。」
「なんですか。」
「もー、冷たいなぁ。そんな態度でも手だけは離さないでくれる左近ちゃん大好き。」
「うぅ、桜崎先輩のバカっ!」
「なんで!?」
ぺい、と手を離されてしまった。余計なこと言わなきゃよかった。私の馬鹿、阿呆、間抜け。
「左近ちゃん、左近ちゃーん。」
「…。」
「無視しないで左近ちゃん。雅先輩泣いちゃうっ…!」
「えっ。」
弾かれたように振り向く。ツンデレ最高。左近ちゃん最高。あ、鼻血でそう。
…そうだった菓子だ菓子。菓子をあげようとしてたんだ。
実習先で"はろうぃん"のこと聞いて菓子貰ったんだった。
え?あぁ実習はしんべヱくんの父上の荷物を船から彼のところまで送り届けることでした。
「えーとね、これをあげよう。」
「なんですか、これ。」
「南蛮菓子。」
「え、そ、そんなっ、貰えませんよ!」
「大丈夫、実習先でたくさん貰ったから。」
「それなら…。」
笑顔で菓子を差し出すとしぶしぶ受け取ってくれた。 内心喜んでるかな、そうならいいな。
「あ、あの、お礼を…したいんですが、えっと。」
お、おぉ。なんて素晴らしいお言葉。
「じゃー、お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞって言ってよ。」
「……え、と。お、お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ…?」
か、可愛いっ!!ちょっと頬が赤い!可愛い!
「それ、はろうぃんの決まり文句なんだってー。」
左近ちゃんははろうぃん?決まり文句?と不思議そうにしていたが、続きは医務室で話してあげよう。
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