目の前真っ白[1/1]
くのたまたちに比べて色白で、髪が長くて、髪と瞳の色素が薄くて、背が高い。こんな容姿の持ち主は一人しかいない。
彼女は我らが火薬委員長、桜崎雅先輩。
彼女は容姿が他と変わっていたが、くのたまたちより優しさが抜きん出ていた。そのため、誰も彼女を変な目で見ることがなかった。 そして、おれは彼女に恋している。
ちなみにおれは雅さんと世間話なるものをしたことがない。委員長とその代理ということで委員会についてなら何度も二人で話したことがある。 普通の話をしたいなぁ。どうしたものか。
ろ組は実習、勘右衛門はい組の特別休み時間勉強会に参加というわけで、おれは一人食堂で豆腐をつつきながら考えていた。
「兵助、隣いい?」
「どーぞ、…って雅先輩!?」
「お邪魔します。…雅だけど、どうかした?」
「いえ、別に…。ここで会うなんて珍しいですね。」
「そうね。初めてじゃないかしら。」
「そうですね。」
「………。ところで兵助、あなたいつまで豆腐をつついてるの?」
「あ。」
「ふふ。意外と抜けてるのねぇ。」
委員会以外の話ができたことで豆腐を食べるのを忘れてた。 おれとしたことが…!
嗚呼、でも嬉しさで視界がシャットアウトしそうだ。
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