一方通行・行き止まり[1/1]



「雅ーーーっ!!」

「きゃぁぁぁあっ!!無理っ、無理無理無理無理ぃぃい!!」

「雅っ!!なんで逃げるんだ!?なにが無理なんだ!?」

「その勢いで私に突っ込む気でしょ!?普通逃げるっつーの!!」


今日も今日とて、わたしは雅と追いかけっこ。実はこの時間が一番楽しい。
なんたって、わたしは雅が大好きだからな!
文次郎にはお前に恥じらいはないのか!?なんて怒鳴られたけど、どっぷり惚れているんだ、仕方ない。
まっ、雅はわたしの気持ちなんてこれっぽっちも気付いてないんだけどな。
それに、雅には好き合っているやつもいる。


「つかまえたぞ!まだまだだな、雅!」

「……っ!あんたふざけんじゃないわよ!顔面からこけちゃったじゃない!!」


後ろから思い切り抱きつけば、わたしの体重を支えきれなかった雅は見事に倒れた。


「雅に小平太、なにをしている。」

「仙蔵!聞いてよ、小平太ったら酷いんだよー。」

「すまん、仙蔵!お前の彼女とじゃれてた。」


よりにもよって、初めて恋した相手が大事な友達の彼女だなんて。


「あぁ、構わん。こんなんで良ければ遊んでやってくれ。」


仙蔵がそう言ってくれるから、明日もまた雅に抱き付ける。


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