作戦A[1/1]



「長次、いいところに!雅、本のことならあいつに聞け。」

「は!?ちょ、ちょっと、留三郎!」


留三郎に呼び止められて足を止めれば、一年のころから想いを寄せていた桜崎がいた。
もともと、くのたまにしては珍しく好戦的な桜崎は留三郎や文次郎、小平太とはすぐに親しい仲になっていた。


「……どうか、したのか。」

「あ、あのね、長次くん。笑わないで聞いてくれる?」


首を縦に振り、桜崎の問いに頷いた。
桜崎と初めて会ったのは小平太企画の組手の練習のときだった。
この"長次くん"という呼び方もそのときからだ。


「実はさ、私あんまり本とか読んだことなくてさ、友達は恋愛物とかを読むわけよ、それでね、私もね、読んでみたいなー、なんて、あはは。」


若干視線を下に向けながら、途切れ途切れに言葉を紡ぐ桜崎。そんな彼女に、読みやすいものなら探せばたくさんでてくるから読み終わる毎に一冊ずつ紹介しようか、と提案した。


「ほ、ほんと!?いいの?約束だからね!」

「……あぁ。明日までに、とりあえず一冊、探しておく。」

「ありがとう!じゃあ、明日の放課後に行くからね!」


これでしばらくは無条件で桜崎と会って、話ができるな、と人知れずひっそりと喜んだ。


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