君が見えた[1/1]
文化祭のときに初めて彼女を見た。確か、射的屋のところで火縄銃の手入れをしていた。
名前も知らない。今まで見たこともない。もちろん話したこともない。
唯一わかってるのはくのたまだってこと。 自分でも呆れるくらい見事な一目惚れっぷり。
数日前に委員会の後輩に聞いたら、虎若が射的屋をやっていたから聞いてみる、っと言ってくれた。
「あ、先輩!虎若に聞いてみたんですけど、くのたま六年生の桜崎雅さんっていって、得意武器は火縄銃だそうです。」
「桜崎雅さん、か。ありがとう。」
「いえ、…頑張ってくださいね。」
後輩からの応援に歓喜しながら、なんとかして会うことができないだろうか、と考えた。
「え?雅先輩?知ってる知ってる!おれのとこの委員長。」
「は?」
「ん?」
なんとなく八左ヱ門に聞いてみた。そうしたら見事に当たった。
「え、ちょ、マジで?」
「?おう。」
「なにそれ狡い。先輩におれのこと紹介して。」
「別にいいけど。お前、雅先輩好きなのか?」
「うん。」
「じゃあ、今度の委員会な。」
「ありがとう、八左ヱ門。」
そして、委員会活動日当日。 初めて彼女の声を聞いた。
1/15
*prev│next#
|