今しかない[1/1]
今日こそ、今日こそ先輩と話すんだ!できれば一緒に町に行く約束とかもしたいな。
「せ、先輩っ!」
「あ、不破くん。ここ図書室だけど、そんな大きな声出して平気?」
「……あ。」
中在家先輩にバレたらどうしよう!お、怒られるよね。
「長次には内緒にしようね。」
「あ、ありがとうございます。」
なんでぼくの考えてたことがわかったんだろう。 桜崎先輩って読心術ができるのかな? いやいや、それはさすがに…。
「なに難しい顔してるの?」
「いえ、別に…。」
「私に用事あるんでしょ?」
首を傾げる先輩に喉が渇いた気がした。 図書室には二人切りだし今を逃したらしばらく二人にはなれないと思う。 もうすぐ当番を交代する時間だし、どうしよう。 言わなきゃ、なにか言わないと。
「あの、本は好きですか?」
「…へ、あ、うん。」
「じゃあ、その、えっと、一緒に古本屋に行きませんか?」
「いいけど、なんでまた?」
「やっぱり駄目で、…え、いいんですか?えっと、この前いい古本屋見付けたんで、それで。友達は本とか興味なくて…。」
「ふーん。じゃ、今度の休みね。」
「はいっ!!」
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