無意識に自分と枯れた花を重ねて素でヘコむ[1/1]
ぐしゃり。 あいつの一言で心が嫌な音をたてた。
―ごめんね。友達以上にはみれないわ。
そう告げられた次の日、あいつは学園を出ていった。 縁談がきたから嫁に行くんだってよ。普通の女に戻るんだってよ。 長次に聞いた。あいつは、おれには教えてくれなかった。 なんでだよ、畜生。
「留さん。」
「…っ、雅!?」
幻聴かと思った。いなくなったはずの雅がここにいる。
「どうした?嫁入りしたんだろ?」
「忘れ物。ね、私はあんたのこと嫌いじゃないよ。」
それから、留さんはむしろ好きな方だよ、と付け足した。 それだけ告げてくのたま長屋に向かっていった。 おれは諦めねぇから。好きでいるぶんには、この気持ちを外に出さなきゃ、迷惑にはならないよな。
ぽつん、と一人たたずむおれがいる。 ぽつん、と誰にも見てもらえない一輪の花がある。
こいつは、ボロボロに枯れても、ハラハラと散っても誰にも気付かれないんだろうか。 おれの、あいつへの思いと同じで。誰にも気付いて、貰えはしないんだ。
はっ、惨めだなぁ…。
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