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休息




今日はまったりデーだ。

何をするでもなくごろごろとイゾウさんの部屋で過ごす。

イゾウさんは銃のメンテ中。
私はそんなイゾウさんを観察中。


以前なら、ふたりでいるのに何にもしないこんな時間が嫌で何を話そうかと躍起になっていたけど、古き良きをはじめてから、心に余裕が出来て、不思議と今のこの空気が嫌にならない。
沈黙が苦にならないのは、私にしては珍しくて。


じっとイゾウさんをみながら、最近のことを思い返してみる。
この短期間にいろんなことが変わった。もちろんいい意味で。
最初は私を変な目で見ている人も多かったけど、今はみんな変わった私も認めてくれていて。それがうれしかった。
私も、今まで見えていなかった、みんなのいいところが見え出して。
まさに古き良き様様である。


そして、イゾウさん。
この短期間で、イゾウさんという男の人のことが前より少しだけ理解できた。
イゾウさんは思った以上に私の事を見てくれているし、理解してくれている。何かあればさり気なくフォローしてくれるし、話した事は忘れない。
それに、構ってくれなかったりとか、愛が足りないとか思っていたけど、それは違うのだ。ただ、イゾウさんは粘着しないタイプなだけ。私が子供過ぎたからひとりで空回りしてぷんぷんしてたのだ。
今も、構って欲しいという気持ちは前と変わらないが、でもふたりですごしているこの空間も悪くないと思っている。
こうして同じ空間にいて、時間を共有する。

イゾウさんの丁寧に動く手や、服の隙間から見える見た目以上に男らしい胸板。愛銃を大切そうに扱う瞳に、流れ落ちた一房の髪の毛。
改めて、彼のことが好きだと思わせてくれる空間が、私は好きになっている。
イゾウさんも同じ事を思ってくれるといいな、と変わらず彼の姿を見ていると、ふと顔を上げたイゾウさんと目が合った。



「無言でそんなに見られちゃあ気になるんだが」
「あ、ごめん」



苦笑するイゾウさんに、反射的に謝る。



「今日はやけに静かじゃねぇか」



手入れは終わったのか、道具を仕舞うとこちらへ来いと手招されたので、お預けを食らっていた犬のようにぴょんっと立ち上がり、イゾウさんのもとに向かう。
珍しく両手を広げてくるものだから、その大きな胸に飛び込んだ。



「なに考えてたんだ?」



ぎゅうと抱きしめてくれるイゾウさんに、わたしも負けじと抱きしめ返す。



「ふふ、イゾウさんのことです」
「…そうかい」



ほらね、前みたいにぷんぷんいらいら不満に思うより、今日みたいに同じ空間を満喫して少しだけ構ってを我慢して、こうしてイゾウさんにぎゅってしてもらうほうが、何千倍も幸せだ。







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