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始まり


私の名前はミア。
白ひげ海賊団16番隊所属。恐れ多くも副隊長やらせていただいています!
そして、何を隠そう我らが16番隊イゾウ隊長の、えへへ、彼女でございます!


現状に満足する事なかれ。
その言葉通り、日々精進。


そんな私にも悩みのひとつやふたつある。
そう、彼氏のイゾウさんのことだ。
もともとマイペースな彼は、彼女である!私の誘いにも乗らなかったり、乗ったり、乗らなかったりの日々。
イゾウさんは嫌いな奴をそばには置かないから、一応好かれてはいるんだろうけど、一緒に会話を楽しんだり、もっと出来ないものだろうか。イゾウさんは聞き専門なのか、基本、私の一方通行だ。
一緒にいるのに、喋ってるのは私だけとか、寂しすぎる!話題なくなったら沈黙とか。その沈黙が居心地悪すぎる!(イゾウさんは気にしてないみたいだけど!)

正直、そういうイゾウさんの態度が不満だったりする。愛が感じられないってゆーか。
もっと、私がイゾウさんを好きみたいに、イゾウさんにも私を好きになってもらいたい!あわよくばもっと仲良くなりたい!そしてお似合いのカップルだと自他共に認めてほしい! (だって付き合い始めた当初は、なんでお前とイゾウが…という視線が後を絶えなかったんだよ…。当初というか、今もかもしれないけど…)




思い立ったが吉日。
イゾウさんがもっと私にゾッコン(死語)になってくれるにはというお題のもと、道行くクルーや隊長達に意見を求めてみた。



―通りすがりのクルー―
「え、今のままでいいんじゃないすか?」
なんの参考にもならーん!

―通りすがりのフランスパンー
「ぶはっ、お前が?ちょ、なんの冗談」
……次。
「あー待て待て待て!そうだな、もっと胸を、」
死ね。

―親父の部屋から出て来たファザコンバナナ―
「まあそれ以前にお前はイゾウのタイプから相当外れてるからねい…」
なにー!?論外!?

―甲板で大の字になっている火ワカメ―
「ぐがー……んあ?」
起きんかい。
「あー…、そうだなー。俺はお前の元気なとこ、長所だと思うけど、イゾウにはもっと落ち着いた色気のある女が似合うんじゃねぇ?まぁイゾウがお前でいいってんならそれでいいじゃねぇか」
お、何と末っ子が一番まともな回答を!
確かに私は元気だけが取り柄だけど…。色気、落ち着いた……。ずーん。やっぱ胸か?それなりにはあるんだけどな。(ナースと比べたら全然だけど…)

―鬼ごっこ中の自隊員―
「副隊長そんなこと考えてたんすか?意外と可愛いとこあるんすね(にやにや)」
意外は余計だ。にやにやも余計だ。

―通りすがりの王子―
「なんか面白そうなことしてるね!てゆうかイゾウがミアを好きな事自体が奇跡なんじゃない?」
知ってますよそんなこと私が一番!その笑顔も今日は殺意を覚えますよ…!

―自室に入りかけた紅茶おじさま−
「ん、どうした?…そういう事か。じゃあ、これを読んでみるか?」
あ、わざわざ部屋まで取りにいっていただいて、恐縮です。お借りします。




とまあ、こんな感じで。

どっと疲れた気がした。
大半は、冷やかしというか野次馬精神丸出しだったが、結論からいうと、私に足りないのは女らしさ、らしい。
どうしろっていうんだ。
既に女なのに、女らしさとか、泣けてくるんですけど。


自室ではぁぁと溜息を吐き、ふとビスタが貸してくれた本を見る。
ワノ国の本のようだ。表紙にはイゾウさんと同じような服を着た人が載っている。
着物という服らしい。


ぱらぱらと捲り、中を読み進めた。


ワノ国とは、歴史、習慣、暮らし、など基本的な情報が載っている。
なんだ、役に立たないじゃないか、と思いながら適当に眺めていたら、ひとつ気になる項目を見つけた。


“古き良き女性像”


興味を引き、一行ずつしっかりと読み進める。
そこにはワノ国で良しとされている、女性の姿が書いてあった。
確かに、こんな慎ましやかな女性がいたら、男はみんな惚れるかもしれない。



「……これだ」



拳をぐっと握り、じっくりとその章を読む。
きっと、私が古き良きの女になったら、イゾウさんももっと好きになってくれるに違いない。
それにワノ国の女性だし、きっとイゾウさんの元カノ(考えたくもないが)とかはこんな人だったのかもしれない。

そこで、ふと、入っている挿絵に気付く。


「わ、…きれい……。」


そこには、ワノ国の女性が載っていて。
見知ったイゾウさんの着物とは違い、華やかで美しい女性用の着物に目を惹きつけられた。



これ着て、イゾウさんの隣に並んだら、似合うかな?



ちょっと乙女な思考になってしまう。
でも、悪くない気がして、そんな自分を想像してにまりと私は口元を緩めた。





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