miss you so bad
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私が我侭なのは今に始まった事じゃない。
ローが海賊になるって言ったとき、ローはそれ以外の選択はないというように私を連れて行くといった。
一度言ったら聞かないローだけど、私は海賊になるなんてまっぴらごめんだったから、頑なにそれを拒んだ。
ローの事は大好きだしずっと一緒にいたいと思う。けど、戦えない私はローの足手まといにしかならないし、何よりお尋ね者になんてなりたくなかった。
結局はローが折れ、グランドラインを一周したらまた会おうと約束した。
けど私はローに会えない事がこんなに辛いとは思わなくて。
『ミア、お前今言った事、もう一度言ってみろ』
さっきまで穏やかな表情だったでんでん虫がローの不機嫌な顔を現す。
だって、辛いんだ。
数年なんて、言葉では短く聞こえたけど、ローのいない日々は地獄だった。
毎日が色あせて見えて、何をするにも味気ない。
自分が言い出した事だし、はじめは我慢したけど、でももう限界だ。
ローに会いたい。
すぐにでも抱きしめてほしい。
キスしてほしい。
抱いてほしい。
ローを、感じたい。
だから、私は先程と同じ言葉を、でんでん虫の受話器に向かってもう一度言った。
「もう、遠距離やめない?」
受話器の向こうにいるローは、でんでん虫の眉間に皺をもうひとつ増やすと黙ってしまった。
私は何でローが不機嫌になるのかわからなくて首を傾ける。ローの前にいるでんでん虫も首を傾けているのだろうか。想像したら少し笑えた。
『…理由は?』
やっとのことでローの声が聞けて少しほっとする。
理由なんて簡単。私が辛いから。また私の我侭にローは怒るのかな。それとも呆れちゃうかな?
「ローに会えないのが辛いから」
『…だから一緒に来いと言っただろう』
「うん。ごめん。もっと大丈夫かと思ったけど、ダメだったっぽい」
はあ、とでんでん虫が溜息をついた。
『…許さねぇ』
「え?」
『俺の元から勝手にいなくなるなんて許さねぇからな』
でんでん虫に睨まれる。
正直睨まれる覚えなんて無い。
と、そこである可能性に気付く。
あれ、ロー、もしかして、勘違いしてる?
だって、私は…、
「ロー!」
『あぁ?』
「ロー、勘違いしてるよ」
尚も不機嫌さを隠そうともしないでんでん虫に、くすりと笑いが漏れる。
だって私はローと別れたいんじゃない。
むしろその逆。
「ローさ、もうすぐレッドラインでしょ?」
『…あァ、あと3日程でシャボンディだ。』
「ふふ、私ね、今そこにいるの」
『……は?』
こんなにでんでん虫が可愛いって思った事はないかも。
でんでん虫を通して、ローのぽかんとした顔が頭に浮かぶ。1日だって忘れた事ない大好きな人。
「だからさ、また我侭言っちゃうけど、今度は私も一緒に連れてってほしいな」
『………』
急にまた黙ってしまったローに、少しだけ、ほんの少しだけ不安になる。
ローのことだから、いいよって言ってくれるって信じてるけど、会えなかった月日がローを変えてしまった可能性だってある。
「…ロー?」
『宿取ってるのか?』
「え?」
『今、シャボンディで宿取ってるのか?』
「あ、うん。」
予想外の質問に、そんなことより一緒に行っていいかの方が気になる、と抗議したくなったが、ローの意図がわからないため素直に質問に答える。
『ミア、俺が行くまで部屋から一歩も出るな』
「え?なんで?」
『出るな』
「でも、ショッピングとか、」
『出るな』
「……一歩も?」
『一歩もだ』
「……わかった。けどなんで?」
『…人攫いが出るからだ』
「えっ!」
ショッピング街とか、遊園地とか、きらきらしたものが溢れているここに、そんな物騒な人たちがいるとは夢にも思わなかった。
「うん。わかった。一歩も出ない」
素直にローの言いつけに従う。私だってローに会う前に攫われたりなんてしたくない。
でもローに会う前に、その前にひとつだけ確認しなくちゃ。
「ねぇ、ロー」
『なんだ』
「私、一緒に行ってもいいの?」
『愚問だな』
不適に笑ったローが見える。
欲しかった言葉に安心し、私も顔がほころんだ。
『2日で行く。待ってろ』
「はあい」
『覚悟、しとけよ』
「…うん。ローもね」
『誰に向かって言ってんだ』
フッと笑ったローに、私もくすくす笑う。
あと、2日。
やっと、やっと、ローに会える。
何度も夢に見た“2日後”を想像して、にんまりと口元を緩めた。
(ロー!!会いたかった!すごく会いたかった!!)
(今度は帰りたいとか言うんじゃねーぞ?)
(絶対言わない。ローがいない毎日なんて全然楽しくないもん)
(……(なんかコイツ前より素直になってねぇか?))
(ロー大好き!(ぎゅー))
(そういやミア、お前どうやって俺達より先にここまで来たんだ?)
(ん?迷子ですって言って海軍に送ってもらった!)
(……………。)
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