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恋のステップ1


俺より頭悪ィんじゃねぇかと思うくらい退屈な教授の講義も終わり、飯を食いに構内の食堂へ向かう。途中で高校の時からの腐れ縁のルフィとユースタスに会ったが、うるさくなるので無視を決め込む。が、結局こいつらも飯食いにいくらしいので、仕方なく同行を許した。



「今日は何食おうかなー」
「がっつり肉食いてぇ気分だな」
「お前の場合肉しか食わないだろうがバカスタス」
「あぁ?じゃあてめぇは草ばっかかこの見た目草食系ファルガーが」
「おめーらホント喧嘩好きだなー。ししし」



このやり取りもいつものことだ。
食堂の席に適当に座りアホスタスに飯を持ってこさせる。これもいつものこと。
じゃんけんで負けた奴が購買にパン買いに行ったり学食で並んだりするのは、俺たちの中では高校の時からの恒例になっていた。ルフィの奴はほぼ運で勝っているが、俺はこいつらのカラッカラの頭を読んで勝負してるので基本負けはない。毎度毎度アホスタスはご苦労なことだ。


待っている間ルフィの話もそこそこに相槌をうっていると、良く通る声に耳を奪われた。
つられて顔を上げると、その声はルフィの後ろに座っている女のものだったようだ。友達と思われるオレンジ髪の女とコーヒーを飲みながら講義の内容について話している。
耳になじむその声は、俺に群がる馬鹿な女共のそれとは大違いで、心地よささえ覚える。化粧も控えめなその女はオレンジ髪の女の話に相槌をうっては静かに笑い、俺はそれから目が離せないでいた。


一目ぼれなんて馬鹿馬鹿しいと思う。
好みでもねぇ女に。だが、興味が沸いたものは仕方ない。
さて、どうやって手に入れようか。



「おらよ」
「おおおおメシーーー!」


がしゃんと3つのトレーを器用に置いたユースタスに邪魔をされ、わざとらしくため息を吐いた。
ルフィはいつも通り既に食事を始めている。


「あぁ?んだよ?」
「お前はいつも間が悪いんだよ」
「てめ、文句あんなら食うんじゃねーよ」


俺の飯を奪おうとするユースタスを抑えて、トレーを素早く遠くへ置く。
舌打ちをしたのが聞こえたがいつも通り無視だ。諦めてさっさと座って食え。



「あ。おいルフィ、あいつお前のダチじゃねーの?」



大人しく座ったと思ったら、今度はルフィの後方を指差す。つられて目をやると、ユースタスはオレンジ髪の女を指していて。タイミング良すぎだろと思いながら、振り返ったルフィの反応を待つ。



「ん?おー!ナミー!!」



どうやら本当に友達だったようだ。ナミと呼ばれたその女はすぐさま振り向くと意気投合したようにルフィに話しかけた。



「ルフィじゃない!偶然!」
「久しぶりだなー!」
「学部違うと全然会わないものね」
「お前らこっちで食えよ。多いほうが楽しいだろ」
「それもそうね、ちょっと待ってて」



おいおい上手く話しが進みすぎだ。
ルフィが肉を口に頬張りながら、ユースタスの方へずれる。必然的に、2分の1の確立で、声の通るあの女が俺の隣に座ることになる。



「おじゃまします、急にすみません」



ぺこりと頭を下げて俺の隣の隣に座ってきたのはあの声の良く通る女で。つまりオレンジ髪の女が俺の隣に座った。お前ルフィの知り合いならそっち座れよ、と分からないように心の中で悪態をつく。
それぞれ席に着いたところで、ルフィが声を上げた。



「じゃー皆紹介すんなー。えー、こっちからキッド、ロー、ナミ、ミアだ。以上」



速攻で食事を再開したルフィに、わかるか!と隣のユースタスが容赦なくルフィを殴る。もっとやれ。
ずびばせんでしたもうじまぜん、と謝るルフィにナミが苦笑しながら助け舟を出す。



「まぁまぁ。ルフィも相変わらずね。私はナミ。ルフィと中学が一緒だったの」
「「どーも」」
「で、この子はミア。私と高校が一緒だったのよね」
「ミアです。よろしく」



耳につくでもない透き通るような声は、近くで聞くとより魅了され俺の興味を煽る。



「で、そっちは?」
「俺らはルフィと同じ高校。俺はキッド。こっちがクソファルガー」
「クソスタスは黙っとけ。こいつのことは気にするな、頭がおかしいからな。俺はトラファルガー・ローだ。」
「誰が頭がおかしいだ。てめぇよりはまともだよ」
「んだとこの」
「やんのかコラ」


バチバチと火花を散らして、高校の時のノリで喧嘩腰になってしまう。



「仲いいんですね」
「だろー。コイツらいつも喧嘩ばっかりなんだぜー」



くすくすとルフィに話しかけるそいつが気に入らず、チッと舌打ちをして食事を再開する。
すると横に座っているナミがにやにやとしながら小声で俺に話しかけて来た。



「いくらあの有名なトラファルガー君でも、難しいと思うわよ」
「有名ってなんだよ」
「女の子の間では有名よ、あなた」



心当たりが無い訳ではないので、あえてスルーする。



「難しいって何がだ」
「バレてないとでも思ってんの?」
「…」
「私結構目敏いの。協力料、高いわよ」
「…いい性格してんじゃねぇか」



にぃっと笑ったナミにこちらも口角を上げる。
明日から、少しは楽しめそうだな。






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