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それでも好き


私だって女の子。
恋バナくらい、する。
今日も今日とて、ハルタ隊長の彼女もとい超可愛いふわふわ女子のニーナと、アフタヌーンティを飲みながら話に花を咲かせていた。


「いいなーニーナ幸せそう!」
「ふふふ、うん。ハルタといれて幸せー」


この可愛い笑顔にハルタ隊長もめろめろだ。


「そういうミアはイゾウ隊長と幸せじゃないの?」
「うひひ幸せだよー!イゾウ超優しいし!」
「だよねー、イゾウ隊長優しそう。あ、でもさー、ミアってちょっと強引な人が好みじゃなかったっけ?」
「あ、うん。こう、ぐいぐい引っ張ってくれる系?男って感じすんじゃん?」
「イゾウ隊長ってそんな感じじゃないよね?ゆっくりマイペースっぽいイメージ」
「まあまず強引タイプではないよね」
「うーんじゃあさ、隊長たちで例えるならタイプは誰?」


にこにこ顔で楽しそうに聞く。
彼氏がいても、やっぱりガールズトークはこういうノリになってしまう。



「隊長たちで??」
「うん。もちろんイゾウ隊長抜きで」
「うーーん…そうだな…。ラクヨウ隊長のがははは俺についてこい的なのは好きかも。でもオヤジギャグ言うのは痛いけど。」
「あははは、ラクヨウ隊長可哀想ー」
「なんでよ、好きって言ってんのにー?」
「でもラクヨウ隊長暑苦しそうだなぁ」
「あはは、ニーナの方が酷いじゃーん」
「だって私はハルタひと、す、………」
「…?どうしたの?」



急に顔色を変えたニーナは私の後ろ一点を見つめる。
つられて私も振り返った。



「よォ、楽しそうな話してんじゃねぇか」



そこにいたのは紛れもなく、私の彼氏というか話題にあがっていたイゾウで。腕を組んでドアに寄りかかりながら口元には笑みを浮かべていた。



「どうした?続けろよ?」
「いやあの、イゾウ、…、いえイゾウさん、い、いつから??」
「俺が聞いちゃァまずい話しだったかい」
「いえいえそんなことは!」


ぶんぶんと首を横に振り慣れない敬語で否定する。
イゾウのこと一番なのは変わりないし、別にまずくはないけど、よりにもよってこんな話題のときに来なくても…!!



「…ニーナ」
「は、はいっ!」
「こいつ少し借りてくけどいいか?」
「もちろんです。イゾウ隊長のものですので!むしろこちらがお借りしていてすみません。どうぞお好きなだけ今すぐにでも連れて行ってください」



にっこりと誰が見ても見惚れる笑顔で口早にそう告げる親友が悪魔に見えた。



「だそうだ」



こちらも負けずににっこりと微笑んで、来いと目で訴える。
私の逃げ場はここにはないようだ。
ぐいぐいとニーナに背中を押され、イゾウに引渡される。手錠ならぬイゾウの手が私の右手首をがっしり掴んだ。犯罪者か私は。

そのまま有無を言わさず引っ張られ、イゾウの背中を右斜め前に私は歩き出した。
後ろで手を振ってる親友が憎い。無言のイゾウが怖い。なんだよ冗談じゃん。私が好きなのはイゾウだってばー!



今日はなんだかイゾウの歩くスピードが早くてぱたぱたと小走りになってしまう。
けどイゾウは余裕で歩いているように見えて、いつもはイゾウの優しさでゆっくり歩いてくれてたんだなぁと気付く。
手も、掴まれているあたりがピリリと傷む。だからこそ、いつもみたいに、恋人つなぎがいいなと思ってしまう。
やっぱり、好きな人とタイプの人って違うよなと改めて感じる。



まあそう感じたところで今の状況は抜け出せてないんだけど…!



流石に無言のイゾウに居心地が悪くなり、私は意を決してイゾウに話しかけた。



「ねぇイゾウ、どこいくの?」
「…気になるか?」
「そりゃ、まぁ…」



引っ張ってこられた先は甲板で、それぞれクルーたちが各々のことをしている。



「心配するな、ミアの気に入るところだ」



私の気に入るところ?
どこだろう、と思っている間にイゾウは甲板の一点に向けて歩いていく。



「それにしても、ミアの好みが“アレ”だとは、気付かなくて悪かったなァ」
「アレ??」
「おいラクヨウ!」


まさかと思いイゾウの横から前を覗くと酒瓶を片手ににこにこ笑顔のラクヨウ隊長がいた。
げ、と思う間もなく、ぐんと右手が引っ張られ、ラクヨウ隊長に向かって投げられた。

イゾウに、…投げられた…!?



「ぃたッ…!!」
「はははは、あっぶねーなぁミアー」



ラクヨウ隊長にぶつけた鼻がじんじんする。
え、私今投げられた、よね??
いつも落ち着いてて優しいイゾウがこんな暴挙に出るなんて思わなくて、ラクヨウ隊長に抱きとめられたまま固まる。



「イゾウも飲むかー?」
「そうだな」



イゾウはというと、私に構うこともせずラクヨウ隊長の隣に腰を下ろし酒を受け取っている。
いつもは転んだだけでも声かけてくれるのに、普段とは違うイゾウに疑問符だけが浮かぶ。
けどすぐに自分の状況に気付いて、急いでラクヨウ隊長から離れた。



「ラクヨウ隊長お酒臭いです!」
「なんだよいーじゃねぇか」
「昼間から飲むとかありえないんですけど」
「かてぇこと言うなよ。で、どうしたんだお前ら?」



軽く私をあしらいイゾウ隊長に訊ねる。
小首を傾げるラクヨウ隊長の髭を今すぐ燃やしてやりたい。



「別に、どうってこたァねぇが、」



イゾウ隊長はちらりとこちらを見た。
無意識にごくりと唾を飲む。どうか余計なことを言いませんように。



「ミアの野郎、ラクヨウみたいなのが好みなんだと」
「違います絶対違います言葉のあやってあるじゃないですかこんな飲んだくれ好みなんかじゃありません!!」
「なんだミアお前俺のこと好きだったのか?照れんなよー」



ラクヨウ隊長はがはは、と豪快に笑って私の否定を無視し、ばしばし背中をたたいてくる。
イゾウの前でやめてよホントこの酔っ払い!



「この際だからお前らくっつきゃあいいんじゃねぇか?」
「え?」
「おいミア、彼氏の許可でてんぞー。俺と付き合うかー?」
「は?」



酒瓶を傾けるイゾウの口から出てきた言葉が理解出来なくて、馬鹿みたいな顔でイゾウを見つめ返す。
相変わらず状況判断の出来ていない幸せ酔っ払い隊長はこの際無視。



「イゾウ、冗談でしょ?」
「冗談だと思うか?」


こちらを見ながらにやりと口元をあげたイゾウは、今までの優しかったイゾウとは全然違って、何を考えているかひとつも読めない。


「わ、わかれるの?」
「さぁねェ」
「…??」
「いいじゃねぇか、ラクヨウみたいなのがいいんだろう」
「そんなこと、」
「俺も、正直ナースみてぇに色気のある女の方が好みだしなァ」



なおもこちらを見つめながら言葉を続けたイゾウに、息を奪われた気がした。
確かに、ナースさんみたいに色気なんてないし、ましてやニーナみたいな可愛さのかけらもないけど、そんなこと今まで一度だってイゾウに言われたことなかったし、好きって言ってくれた言葉を信じてた。
視界がだんだん揺れていくのがわかる。けどその向こうのイゾウは先ほどと変わることない表情でこちらを見ていて、それが更に私を切なくさせた。





「ちょーーーーーーっと待った!なんだよこの微妙な雰囲気!おいミア、ちょっと来い!」





完璧に無視をしていたラクヨウ隊長がご自慢の大きな声で間に割って入る。
そして私の名前を呼んだと思ったら、がしりと肩を組み、イゾウに背を向けるように引き寄せられた。仕方ないので膝を抱えるようにして座る。
ひそひそ話しをするように、声を抑えながらラクヨウ隊長は私に顔を近づけた。酒臭いことこの上ない。



「うわお前今にも涙零れそうじゃねぇか」
「うっさいです」
「泣くなよ、俺ァ女の涙にゃ弱ぇんだ」
「どうでもいいです」
「で、何でお前泣きそうなんだ?」
「………聞いてなかったんですか」
「いや聞いてたよお前らの会話なら。だからどこに泣く要素があったんだって聞いてんだよ」



ラクヨウ隊長って、本当に馬鹿だったんだ。
頭の端にはてなマークを浮かべているのが見える隊長の髪を毟り取りたくなった。



「…イゾウ、別れるって…」



言葉に出して言うと重みが出てきて、ぐっと唇を噛む。



「別れるとは言ってねぇだろ。…ってちょっと待て、お前まさかそれ本気にしてねーよな?」
「本気だよ。こんなイゾウ見たことないもん…。代わりにラクヨウ隊長と付き合うくらいなら海に飛び込んで死んだほうがマシ」
「それはひでぇな」
「どうしようラクヨウ隊長、私、イゾウに嫌われたら死んじゃう…」
「嫌われてはいねぇだろ。つーかイゾウなんていつもあんなもんだろ?」
「…?あんなもんって?」
「いやだからあんな感じ」


後ろを指差したラクヨウ隊長に習って、こっそり振り返ってイゾウを見る。
膝に肘をついてじっとこっちを見ているイゾウにビクリと身体が揺れて急いで元の位置に戻る。



「そんなわけないじゃないですか。あんな怖い顔してませんよいつも」
「いやフツーだろ今のは。じゃあ今日は何が違うってんだよ?」
「いつもは、もっと優しいです。さっきみたいに私が困ることは絶対言わないし、手だって無理やり引っ張ったりしないし、歩調もちゃんと合わせてくれるし、…投げられたことなんて、初めて……。……ってなんでそんなに離れてるんですか?」



自分で言ってて、本当に嫌われたんじゃないかと気持ちが沈んでいくと同時に、ラクヨウ隊長が私から3メートルくらい離れたところにいるのに気付いた。隊長はその後はっとしたみたいで悪ィ、と元の位置に戻ってくる。必要ないけど、また内緒話みたいに肩を組まれた。



「お前さ、それ本当にイゾウか?」
「どういう意味ですか?」
「絶対それ人違いだって」
「??」
「んな気持ち悪ィのがイゾウなわけないだろうが」



うげぇーと舌を出してそういうラクヨウ隊長の方が気持ち悪い。



「つーかあれだ」
「なんですか」
「それはお前が勘違いしてる」
「なにを?」
「あいつは頭イイ分性格悪ィぞ」
「そんなわけないじゃないですか」
「じゃー騙されてる」
「いやいやいや…」
「アレ、が本当のイゾウだ」


ぐい、とまた後ろを指差す。
二人してくるりと振り返ってイゾウを見る。
さっきと同じ格好でまたこちらを見ているイゾウにひやりとして、速攻で背を向ける。



「うそです」
「むしろ俺はさっきお前が言ってたことの方が信じられん」
「イゾウは優しいです」
「そう思うのは勝手だが、ミア、これだけは覚えておけよ」
「なんですか?」
「絶対、イゾウを怒らせるな」
「な、」
「静かに怒る奴ほど怖ぇって言うだろうが」
「やっぱりイゾウ怒ってるんですね」
「これは怒ってるんじゃねーよ。楽しんでんだ」
「でも怖いです…」
「あいつが本気で怒ったら俺ら隊長でも全員逃げ出すぞ」
「そんなばかな」
「つーわけで」



いきなり立ち上がったラクヨウ隊長はぽんと私の頭に手を置く。



「酔いも醒めちまったし、背中に穴開く前に俺いくわ」
「えっ」



わっしゃわっしゃと私の髪をぐちゃぐちゃにし、頑張れよーと鼻歌交じりに手を振ってラクヨウ隊長は行ってしまった。
ひとりにするなんて酷い。



「…随分待たせるじゃねぇか」



背中から聞こえた声にビクリと肩が跳ねる。
おそるおそる振り返った。イゾウは尚もこちらを見つめていて、その余裕の表情が逆に私の余裕を奪い取る。

これが本当のイゾウ?
いやいや馬鹿いっちゃいけないよラクヨウ隊長。
じゃあ今までのイゾウはなんだったの?幻覚?



「来いよ、ミア」



流れる目で見つめられ、どきんと胸が鳴る。
やばい、視線に捕まってしまった。身体が動かない。



「…まァ来たくねぇならいいが」
「そ、そんなんじゃ、」
「案外楽しそうだったじゃねぇか。良かったなァ」
「よくないよっ」



くつくつと笑って酒を煽ったイゾウに、やっと身体が解放され、ずりずりと移動しイゾウの前にすとんと座る。



「イゾウひどい」
「望み通りだろォが」
「別にラクヨウ隊長と付き合いたいなんて言ってないもん」
「気ィ利かせたつもりだったんだがな」



あーあ。なんだかどっと疲れちゃった。
こういう時は、イゾウにぎゅってしてもらうと落ち着く。
くいくい、とイゾウの袖を引っ張る。癖のようなもので、こうするとイゾウは甘えたか?って私を抱きしめてくれるのだ。



「どうした?」
「えっ」



楽しそうにしているイゾウはやっぱりいつもとはどこか違う。
こんな風に聞かれたことはなかったので本気で戸惑った。



「何してほしいんだい」
「え、や、その…」



尚も楽しそうな表情で私の言葉を待つ。
いつも何も言わずに察してくれるのに。そんな質問、ずるすぎる。
今更な気がして、抱きしめてなんて恥ずかしすぎて言えない。



「言わなきゃわかんねぇぞ」
「い、イゾウいじわるだ…」
「言ってみろ」
「う、……」



頬が紅潮する。



「…、やっぱり、いい」
「クク、いいのか」
「……よくない」
「どっちだ」
「やだ、よくない、。」
「じゃあどうしてほしい?」



イゾウはいつも言わなくてもなんでもわかってくれたから、こんなお願いなんて、口に出したことない。
普段より数倍小さくなった声で、意を決して私は伝えた。



「だ、き…………、です」
「聞こえねぇな」
「えぇーっ!」
「聞こえるように言いな」
「う…、。い、イゾウに、だ、だだっ、抱きしめて、ほし、い、です………」



最後は消え入りそうな声で伝える。柄にもなく顔が赤いだろう事が容易に想像できる。



「抱きしめてほしいのか」
「うわいやもう、繰り返さないで!」
「大胆だなァ。真っ昼間から甲板で」
「あああああ、やだやめてごめんなさい」



恥ずかしくなってうわあああと両手で顔を覆うが、イゾウはそんなのお構いなし。

“アレ、が本当のイゾウだ”

不意にラクヨウ隊長の言葉を思い出した。
まさか本当にこれがイゾウの本性なの?



「だったら詐欺だっ!」
「何が詐欺だい」
「イゾウが……」



言いかけて口が引きつる。
イゾウが、軽々と私を抱き上げ自分の膝に乗せたのだ。
急になくなったふたりの距離に、ここは甲板だったと思い出し、離れようともがく。



「力の差なんて歴然だろうが」
「やだやだ恥ずかしいマジ離して!」
「恥ずかしいってお前さん、自分で騒ぎ立てて注目浴びてる奴が何言ってんだい」
「え?!」



はっとして周りを見ると、甲板にいたほとんどがこちらを見ていて、私が気付くと一斉に目をそらされる。身体が一気に熱くなる。何も発せなくなった私はキッとイゾウを睨んだ。



「涙目で睨まれたって痒くもねぇよ」
「……」
「で、何が詐欺だって?」



片手で私の腰に手をまわすイゾウについに観念し、身を預けながらそれに答える。



「…こっちが素なの?」
「……まァな」
「騙してたの?」
「いや、騙してるつもりはなかったが?」
「じゃあ我慢してたの?」
「我慢もしてねぇな。」
「じゃあなんなのよ…。こっちはぶろーくんはーとだよ」
「ククッ、失恋か?」
「そんなとこ」
「じゃあ別れるってことか」
「………いーもん」



イゾウの肩に頭を預ける。
いいもん。だって私が好きになったのは優しかったイゾウだもん。
こんな意地悪言って私で楽しむイゾウなんて知らなかったもん。そうだよ、イゾウは私の気持ちなんて完全にわかってて、遊んでるだけなんだ。



「そうかい。じゃあミアに触んのも、これが最後だな。」
「………」



イゾウは私の反応で遊んでるだけだから、本当に別れるなんてない、と思う。
でも今のイゾウは全く読めないから何考えてるかわかんない。
もしかしたら本当に別れるかも?

……嫌だな。

別れるのも嫌だし、もう触れてもらえないのも嫌だ。
優しかったイゾウもイゾウだけど、このイゾウもイゾウで。そして私はこのイゾウを嫌いになれていない。というより、どんなイゾウでも結局は嫌いになんてなれないんだ。



「優しいイゾウがよかった」
「もう無理だな。面倒くせぇ」
「面倒とか酷い…」
「終いだな」



イゾウのアホたれ。
イゾウにとって私はそんなもんなのかい。冗談でも酷いよ。

ぎゅうとイゾウの服を握り、無意識に唇を尖らせた。



「……」
「なんだい。まだ何か言い足りねぇか?」
「…イゾウは私のこと嫌いなの?」
「嫌いじゃねぇな」
「じゃあ好きって言ってよ」
「言わねぇ」
「好きじゃないから?」
「違うな」
「別れたいの?」
「お前さんがそう言ったんだろうが」
「……」
「どうしたいんだ?」



ん?と先を促すイゾウはやっぱり私の知っている優しいイゾウではない。
明らかにこの状況を楽しんでいるイゾウをびっくりさせたくて、普段はしないけど、自分から抱きついてみた。でもイゾウは顔色一つ変えなくて。悔しかったので顔を見られないようそのままイゾウの肩に顔を埋めた。



「やだ」
「なにが」
「別れたくない」
「別れなきゃいいだろうが」
「イゾウがわかんない」
「嫌いか?」
「…………すき」



また喉で笑った。
今日は負け負けだ。
次のガールズトークはきっと質問攻めになる。

ぎゅうとイゾウに回す手を強める。
どんなイゾウだって好きなんだもんな。仕方ないでしょうよ。



「可愛い奴」



愛でる様な低く甘い声にどきっとすると同時に、首筋に暖かい感触が当たる。
ちくりとした痛みがして、瞬時に身体を離しイゾウを見た。



「隠したら増やすからな」
「!!!」



首筋を手で覆い、イゾウを凝視する。
たぶん、キスマークつけられた。


隠さないとか、無理な話だ。
でも、今のイゾウなら、有言実行しそうで怖い。


なんて反応したらいいかわからなくて、手を首筋に当てたまま、イゾウの膝の上で身体を小さく縮めた。
イゾウは肩で笑って、今度こそ、私をぎゅっと抱きしめた。







(先が思いやられる…)









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