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tell me your honest feeling1


無謀にも白ひげ海賊団に喧嘩を売って、船長のエースはぼろ負け。エースを取り返そうと決死の覚悟で挑んだ私たちもぼろ負け、というか遊ばれて捕まった。それからしばらくして、私たちは全員、白ひげ海賊団の一員となった。
ここの皆は強いし優しい。私も皆も、色々あったエースも、ここを好きになるのに時間はあまりかからなかった。


もともと船医だった私は、この船に乗ってもその役割は変わることはない。毎日医務室に顔を出し、ドクターやナースさん達と情報交換や怪我人の手当て。
流石白ひげの船というべきか、ドクターもナースさん達もかなりの腕で、私は毎日新しいことを学んでは感動していた。


充実した毎日、と思っている。
だけど、日常生活と恋愛とは別の話で。
私はエースに対して今までにないくらい不満を抱いていた。


元々思っていることは自分の中に溜め込んであまり言わないタイプだったから、エースにこの不満を言うことはない。
前までは不満に思うこともそんなになかったのでそれでよかったのだ。
でも、環境が変わったからか、私の不満は募る一方で。それにストレスと感じる自分にも、嫌気が差してきていた。


この船に乗ってエースが荒れているときも、不満なんて感じなかったのに。
エースがナースさん達と仲良くしたりするから。
エースが他の人たちとたくさん飲んだり騒いだりして、私と居れる時間が減ってもなんとも思ってないみたいだから。

元々人当たりのいいエースは可愛いナースさん達とはまんざらでもない様子で。
診察室から見えてるの、知らないでしょ。医務室まで来てナースさん達と話していくのを見るの、もう耐えられないよ。わざわざ医務室まで来て、診察室の目の前まで来てるのに、私に会わない理由も到底理解できない。


けど、マイナスな気持ちを伝え慣れていない私はこんなこと絶対エースには言わない。前に歩き出したエースの足を引っ張りたくない。なんて、こんなの本心じゃないの、わかりきっている。本当はただエースに嫌われたくないだけ。面倒な女と思われたくないだけ。
自分勝手なわがまま、。


でも、やっぱりそんなのは長く続かないよね。


折角、太陽みたいな笑顔で隊長になったこと教えてくれたのに、私、素直に喜んであげられなかった。
だって考えちゃったんだもん。またエースが皆に取られちゃうって。ナースさん達もエースのこと好きになっちゃう。人気、あるんだよ、エース。



だから、こうなったのは全部、私の所為。



「お前最近感じ悪くねぇ?」



だからエースの言葉に傷つく資格なんて私にはない。
だから、今日も心の中だけでエースの言葉に答えて、私が傷つかない方法を取る。


わかってる。感じ悪くしてることなんて。
だって仕方ないじゃない。エースが他の子と楽しそうに笑ってるところなんて、見たくないんだもん。
もっと、前みたいにふたりで一緒に居たいんだもん。



「黙ってねーでなんか言えよ」



エースのいらいらが伝わってくる。
でも、言えるわけないじゃん。嫌われたくないもん。
エースだって、何で察することが出来ないのよ。少しは、考えてよ。



「はー。ほんとわかんね。不満があるならはっきり言えよ」



言えたら苦労しないよ。
今までずっと我慢してきたんだから…



「…ほんとめんどくせぇ。」



ずきりと心臓が鳴る。
そんな言い方、しなくたって…



「面倒なら、やめればいいじゃん」



口を閉ざしていたはずなのに。するりと出てきた言葉。

ああ馬鹿だ。
思ってることは言えないくせに、思ってないことばかり簡単に音になる。
前はこうじゃなかった。言いたいことは言って、たくさん笑い合えてた。
この船が悪いわけじゃない。私が変わってしまったんだ。私の心が弱くなってしまったんだ。
エースが他の人と笑う度に、エースの中での私の居場所がなくなる気がして不安でたまらなくなる。

そうこれは、醜い嫉妬心。

荒れる心とは裏腹に表情を押し込めた私は、
エースから終わりの言葉が紡がれるのを静かに待った。




傷つけてごめん。意気地なしな私を許してね。

これ以上耐えられない思いをするなら、どうかいっそ、このまま終わらせて。

私の最後のわがまま。







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