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わしゃわしゃと頭を撫でて褒めてくれるマルコ隊長。
今日も私はこれのためだけに頑張ってます!



「じゃあ次サッチんとこ頼むよい」
「はいっ!」




荒れた街の裏路地で私を見つけてくれたのはマルコ隊長だった。
それから、船に乗せてくれて、こんなにたくさんの家族も出来た。


私は船に乗る前から能力者だったけど、全く役に立つ能力は持っていなくて。
だけど、そんな私でもこの船は温かく迎えてくれて、そしてなによりマルコ隊長は私にも出来る事を見つけてくれた。それは、提出期限を守らない隊長達の書類集め。



「サッチ隊長ーー!!」
「うわミア!ダメだ来るな!まだ終わってねぇ!絶対能力使うなよ!」



サッチ隊長の制止も笑顔で無視し、目の前まで来るとぺこりと頭を下げ挨拶する。



「5日前にマルコ隊長が頼んでいた書類、あとどのくらいで終わりますか?」
「…あと、2日……?」



それではダメだ。
マルコ隊長は今日中に欲しいと言っていた。
サッチさんは嫌がっていたが、やはり私のイヌイヌの実の能力を使うしか無いらしい。


だってマルコ隊長に今日中に届けられないと嫌だ。
しゅんと落ち込むと同時に、 悪魔の実の力で、モデル・チワワの小さな耳と尻尾をちょこんと出す。
そして、 普段よりももっとぱっちりになった瞳と項垂れた表情でサッチを見つめた。



「今日中は、無理そうですか…?」
「……っ!だから、それ、反則!!!」



ばんばんと床を叩きながら何かと戦っているサッチ隊長。大体クルーの皆は、こういう反応か、ギュッて抱きしめるか、お菓子とか書類とかすぐに私の望む物をくれる。何の役にも立たないと思っていたが、思った以上に便利な能力みたいなのだ。(特にマルコ隊長にとっては)



「今日中に、持っていきたいんです…!」



チワワ特有の潤んだ目で見上げ、ふるふると震えながら訴えかける。



「…………だめだ、。今日も、俺の負けだ………」
「え、じゃあ!」
「夕方まで時間くれ」



何か色々なものと戦ったのか、疲れた表情でサッチ隊長は両手をあげた。



「ミア、おまえマジ可愛すぎ」
「皆さん小型犬が好きなんですよね」
「アレで断れる奴がいたら見てみたいな」



欲しい答えが得られたため、先程とは打って変わって耳も尻尾もピンと上を向く。



「あ!サッチ隊長!」
「ん?」
「そういえば、この間のアイスケーキ、また食べたいです!」
「ミアの頼みなら断れねぇなぁ。今から作ってやるから、提出期限明日にして」



どさくさに紛れてとんでもない提案をして来るサッチ隊長に笑って、優先順位が違います、と目の前で手をクロスする。



「ちぇ、じゃあ明日作ってやるよ」



わしゃわしゃと撫でられた頭に、とくんと胸が鳴った。



「???」



マルコ隊長にしてもらった時とは違う感覚に、今のは何だったんだろうとはてなマークを浮かべる。
よくわからない時は、マルコ隊長に聞くのが一番だ。早速、帰って聞いてみよう。



「じゃあまた夕方にサッチ隊長の部屋に行きますね!」
「おー、ゆっくりでいいからなー」



おそらく夕方までに終わるかも怪しいのだろう。元々あと2日欲しいと言ってたのだ。
そんなサッチ隊長に手を振って、今度は大好きなマルコ隊長の手で撫でてもらうため、勝手知ったる船を1番隊隊長の部屋へ向けて駆け出した。








(マルコ隊長、あれってなんだったんだと思います?)
(……。お前はまだ知らなくていいよい。つーか忘れた方が身のためだ)






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