そんな日常
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マルコ隊長からの書類を届けるためにイゾウを探していたら、なかなか見られない珍しい光景を見る事となった。
部屋にも食堂にも書庫にもイゾウの姿は見当たらなくて、あとは外しか無いとぽかぽかと暖かい甲板へと出ると、甲板の端で昼寝をしているイゾウがいた。
「甲板で寝るなんて、珍しい」
ぽつりと呟き、イゾウへと近づく。
胡座をかき腕を組んで、若干俯き加減。瞑られている目。でも眉間には数本の皺が寄っていて、クスリと笑みが漏れた。
「折角マルコ隊長からのラブレター持ってきてあげたのに。こんなトコで寝てると風邪引くよー?」
聞こえるはずも無い相手に話しかけながら、隣へと腰を下ろす。
ぽかぽかと暖かい空気に、大好きな海の奏でる波の音。
ああ、これなら寝てしまうのも納得。
潮の匂いに肩の力が抜けて、私も目を瞑った。
少し休憩するくらい、マルコ隊長も怒らないでしょ。
「…………」
すうすうと隣から聞こえる寝息に、眉間の皺はそのままに、俺は横目でミアを見やる。やたら香りの良い髪と長いまつげと鼻の頭しか見えねぇこいつは、俺の肩に寄りかかりながら寝ていた。
ミアが来た時から気付いてはいたが、まさかこいつまで寝るとは思いもしなかった。
おかげで、俺はここから動けねぇ。ま、それも悪くはねぇが。だがやっぱりこいつがマルコに怒られるのはいただけねぇな。
適当に甲板を通り過ぎたクルーを呼び止め、毛布とペンを持ってくるように頼む。
暖けぇって言っても海の上。風は結構あるからな。
数分後に受け取った毛布をミアにかけてやり、礼を言うとクルーは船内へと戻っていく。
さてと、面倒だが、マルコからのラブレターとやらを片付けるかねぇ。
するりとミアの手に握られていた書類を慎重に抜き取り、目を通す。
情報共有と報告書。1時間もありゃ終わるだろう。
膝の上で書く字は些か歪に写ったが、読めりゃ問題ねぇだろ。
なるべくミアがいる方の肩を動かさないよう慎重にペンを進めていく。
最後の文字を綴り、横のミアを見ると、先程と同じ体勢で静かに寝息を立てていた。よく寝るなと苦笑し、完成したばかりの書類をそっとミアの手に握らせる。
あとはこいつが起きるのを待つだけだ。
渡すはずの書類が出来上がっているのを知った時のミアは見物だろうな、と今から起きる事を想像し、俺は口角をあげた。
(…んん、…?…!ごめんイゾウ寝てた!これ、マルコ隊長が明日までに提出して欲しいって、…ん?あれ…??え???)
(クク、どこに何を書き足したらいいんだい)
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