とばっちり被害報告
オレの名前はシャチ。
何を隠そう、ハートの海賊団での一番の被害者である。
何の被害者かって?そんなの決まっている。船長にバラバラにされる被害だ。
「ねぇロー、一回海に落ちてみてよ?」
今日も今日とて、そんな被害が訪れるんじゃないかとビクビクしていたオレ。
船長の隣でのんびりしていたミアが落とした爆弾発言で、オレの死は確定した。
だって、回り見たらもう誰一人甲板にいねーんだもん。皆逃げんのはえーよ!
かく言うオレも遅ればせながら、船長とミアの隣の船内へ続くドアを見たが、その瞬間、船長に目で動くなと訴えられた。
というわけで可哀想なオレは逃げ遅れた子羊状態。
ミアはなに言ってもバラバラにされねぇからいいよな!そのとばっちりはいつもこっちだドチクショー!
「……ちなみに聞くが、何故だ?」
「ん?ローのアホ面見てみたいから!」
ハーイオレ今日バラバラじゃすまねーかも!
ふふふって笑ってんじゃねーよアホミア!
「だって海入ったら全く力が入んないんでしょ?もちろん顔にも!」
「…………ROOM」
オレさよなら!!!
船長アンタが海賊王になる姿見れなくて残念っす!
「もー、冗談の通じない男って嫌よね」
だから火に油を注ぐなよ…!
………ってあれ。体がバラバラになってねぇ。
予想していた衝撃が無く、ぼけっとしていると、2人の会話が耳に入って来る。
「お前のは冗談じゃないだろ」
「うん!」
「で、本音は?」
「えへ、一緒にお風呂はいりたい!」
「はじめからそう言え。行くぞ」
「はーい!」
え、え、なにこれ。
さっきまでのオレの焦りは何。何この雰囲気。
バラバラにされなくてハッピー!なはずのオレなのに、この言いようのない敗北感。
オレは一人残された甲板で一言ぽつりと呟いた。
「………オレも女の子と一緒に風呂入りてぇ…」
(あわあわあーわ泡風呂ー♪)
(…チカラ入んねぇ…(だるーんぶくぶく))
(うっひひ、ローあほ面ー!可愛い!(ちゅ!))
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