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きっと来年もおれの隣には君がいる。





「サボ」
「ん」
「お誕生日おめでとう!」
「……おー」



歳を重ねるということは息をしているだけで毎年訪れるわけで、とりわけ「その日」を特別に思ったこともない。ただ、これまでと違うのは、隣にコイツがいるという事実。

たったそれだけで。おめでとう、と言葉を告げられただけで、むず痒くなる心に、おれは蓋をするようにそっけなく答えた。



「なーに?あんまり嬉しくなさそうね?」
「別に。ただひとつ歳とっただけだろ」



あたかも興味がないように振舞うのは、きっとおれがコイツに祝われているのを喜んでいる証拠だ。



「私は嬉しいのにな、サボの誕生日」
「…そういうもんか?」



毎年来ていたこの日は、おれにとってはいつもの一日だった。
だけど、今年はそれがどうも違うらしい。だからこそ、その感情を素直に受け取っていいものか、若干の戸惑いを覚える。



「うん!そーいうもんだよ」



そんなおれの葛藤を吹き飛ばすように、ミアはおれの隣でふわりと笑った。
きっと、コイツがそういうんだから、誕生日とは本来そういうもんなんだろう。

好きなヤツが隣にいるだけで、こうも違うのか、と今更だが気付かされる。



「だって、サボがうまれて来てくれなきゃ、私、サボに会えなかったもん」



だから私はサボが生まれてきてくれたこの日に感謝するの、と本当に嬉しそうにそう言うミアは最高に綺麗で、せっかく引き締めていた頬も無抵抗に緩んでしまう。けど、おれはそれを隠すようにぐいっといつもの帽子を引き下げた。



「…じゃあ、来年もまた、祝ってもらわねぇとな、」



ぽつりとこぼれたその言葉を、ミアが聞き逃すはずもなく。



「もちろん!約束ね?」



おれの好きな声でそう告げられ、今度は隠せるわけもなく、おれは口角をあげた。







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