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show me how you kiss...?





「エースのキス顔ってどんな?」



ぶほっと豪快に食べかけの肉を吹き出したエースに私は顔を顰めて非難の目を向けた。



「ちょっと汚い!」
「げほっ、ちょ、…は?」
「だーかーら。エースのキス顏!」



タオルを差し出しながらそういうと、エースは素直にそれを受け取り口の周りを拭く。そして少し間をあけてから言いにくそうに口を開いた。



「……なんで急に、んなこと聞くんだよ…」
「うーん、…特に理由はないけど…」



ちょっとした好奇心?と、にひひと笑って答える。そんな私を見てエースははぁと深いため息をついた。



「好奇心って、お前な。」
「あー、なにその呆れ顔!」
「呆れるだろそりゃ」
「なんでよ。いいじゃん、減るもんじゃないし」
「減るだろ」
「なにが」
「おれの寿命」
「いいじゃんそのくらい」
「ひでぇな」



ははっと笑ったエースは、少し考えるようなそぶりを見せて私に向き直った。



「まぁ、ミアの頼みならいいぜ」
「え、いいの?キス顏?」
「おう」
「まじか」
「マジだ」
「やった!」
「じゃーちょっとこっち寄れ」
「は、」



はい?と聞き返す間もなく、エースがずいとこちらへ近寄り、私の頬をその大きな両手でがっちりと包んだ。



「しっかり見とけよ?」
「え、ちょ、待っ、!」



私ですんの!?なんてそんな叫ぶ余裕もなく、エースは目をそらすことなく私に近付いてくる。ありえない不意打ちの至近距離に、心臓がバクリと大きく跳ねた。



「、エース、」
「黙っとけ」



吐息を感じるほどの距離で低く囁かれ、私は息をすることも忘れてエースの真っ直ぐな瞳に逆らえないままその瞳を見つめ返す。



「……っ」



キスなんて経験私にだって何度もあるけど、ゆっくりとしたエースの動作は確実に私を追い詰めていた。

私とエースとの距離は少しずつ埋められていく。力強く、そらすことを許さない瞳は私から拒否という選択肢を奪っていって、ドクリと波打つ感覚だけが私を支配した。


もう触れてしまう。
と、そう思った時、ゼロ距離を連想させるように、私の唇にエースがフッと吐息を当てた。その瞬間、私の中に一気に羞恥という感情が流れてきて、次に予想される行為に私は本来の目的も忘れてきゅっと目を瞑った。



「…、」



だけど一向に唇には何の変化も感じられず、私は少し落胆にも似た感情と共に片眼を薄く開けようと瞼を動かした。と同時に、額に衝撃を感じて小さい悲鳴をあげる。



「…っったぁぁっっ…!」
「ばーか。目閉じてんじゃねぇよ」
「………えーす…」



額を抑えながら両眼を開けて目の前の男を見上げる。どうやら私は寸止めキスを食らった挙句、デコピンまでも食らったらしい。



「期待したか?」
「…っ、す る か !」



にやっと笑ったエースに先ほどまでの自分を思い出し、それを払拭するように私はエースの頭をバシッと叩いた。



「いってぇな」
「それはよかった」
「で?おれのキス顏どうだった?」
「にやにやすんなきもい」
「厳しいな。で?」
「……」
「…まさか惚れ、」
「きもちわるかった!!」
「ひっでぇな!?」





絶対、本当のことなんて言ってやるもんか!








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