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行動派な彼の真意






2人分の重さに若干の悲鳴をあげているローの自転車の後ろで私は横に流れた髪を軽く後ろへと振り払った。



「ねぇロー!今日の数学のテスト、最後の問題めっちゃ難しくなかった?」
「あー。あれな。解けたのか?」
「一応はね」



息を切らすことなく自転車を前に進めるローは、ひょろいくせに意外と体力はある。



「へぇ?めずらしいな」
「ひっど!頑張ったんだからね、これでも」
「はいはい。で?答えは?」
「えっ………、 x=3.....?」
「ご愁傷様」
「えーーーーっっ」



ローは頭いいから、きっと間違った答えだったんだろう。
あまりのショックに下がるテンションを隠しもせず、ガクリと項垂れたまま肩と頭の片面を進行方向にいるローへと預けた。



「今回は大丈夫だと思ったんだけどなぁ…」
「またおあずけだな」
「……意地悪」



そう、おあずけ。
私とローは彼氏彼女という関係だけど、いまだローから好きだと言われたことはない。
関係は良好だし、別に不満でもないけど、でも1回くらいはそういうの聞いててもいいと思ったんだ。

だから、それをそのまま言ってみた。そしたら何故かテストでひとつでも満点取れたらって話になって。



「ちぇーっ」
「次のテストは再来月か?」
「そーっすね」



むぅと口を尖らせて答えると、声だけで私の気持ちを理解したのか、くく、とローは肩を震わせた。



「私はローのこと、だーいすきだよ」



別に負け惜しみとかじゃない。でもちょっと悔しくて、ローの背中に向かってそう言えば、進行方向に一定速度で進んでいた自転車が急停車して、私は慣性の法則でローの背中に鼻を強かに打ちつけた。



「ちょ、ロー、あぶない……」



涙目で鼻の頭を押さえながら弱気な声で訴える。急に止まったローはというと、両足を地面につけたまま、ぐるりと上半身をこちらに向けた。



「…??な、なに?」



読み取れない表情のローに無意識に身構える。
そんな私のことなど気にもしないように、ローは鼻を押さえていた私の手を取り払い除け、空いた唇に素早く、ちゅ、と、触れるだけのキスをした。



「えっ、ちょ、え?なにっ??」



でもローは焦る私なんてやっぱりそっちのけで、満足顔でまたペダルを漕ぎ出した。












あー、もう。
“すき”なんて。
言葉なんて、。











((………。)(ぎゅ))
(!)
(……危険運転だからつかまってるだけだからね。)
(……そういう事にしといてやるよ(にや))






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